9月13日、公明党東日本大震災復興対策本部(本部長=井上義久幹事長)は、復興予算が被災地と関係ない事業に流用されているなどと9日放送のNHK番組(NHKスペシャル)で報じられたことに関し、復興庁など関係省庁から事実関係の説明を求め、事業内容の厳正な精査を強く迫りました。
 席上、対策本部のメンバーは、沖縄の国道整備や反捕鯨団体対策など被災地の復興と懸け離れた事業に予算が回り、被災地に必要な資金が行き届いていないとする報道の事実関係を追及。復興庁側は報道内容に誤解を招く点があるとしながら「今後は査定の過程で批判を受けないような対応をする」と答えました。
 さらに、東日本大震災復興特別会計の2013年度予算概算要求のうち、被災地以外の防災対策などに充てる「全国防災」の金額が1兆円近くに膨れ上がっている点などをただし、井上幹事長が事業内容の厳正な精査を要請。「報道で間違っている所、省庁が考え直すべき所を整理し、国民に説明責任を果たしていかなければならない」と厳しく指摘しました。
 この番組は「東日本大震災『追跡復興予算19兆円』」というNHKの報道特集番組。番組によると、被災地復興のため当初予算に加え政府は3次にわたる補正予算を組まれました。その総額は19兆円で、所得税や住民税などの増税によって財源を確保しました。国民が広く財源の負担を受け入れて、被災地の復興に協力しようと思いを込めた事業です。すべてが被災地復興に使われるのだと、国民のだれもが信じていたに違いありません。しかし、NHK仙台放送局の取材班が500を超える事業について内容を分析してみると、「流用」の事実が次々に浮上してきたのです。
 一例を挙げれば、「沖縄県国頭村の海沿いの国道の補修工事費」5億円、「北海道と埼玉県川越の刑務所の職業訓練」2800万円、「被災地でのテロ対策の車購入」2800万円、「反捕鯨団体対策と調査捕鯨への補助」23億円、「老朽化した国立競技場の補修費」3億円など、これはどう考えても“流用”といわざるを得ません。
 しかし、NHKの指摘に対して、各省庁の担当者は、その事業が被災地復興につながると、ぬけぬけと答えています。政府・民主党の統治能力の欠如が、こうした各省庁のモラルハザードをもたらしたとしか言いようがありません。本来、与党議員は詳細な予算資料が事前に配られるはずで、それを見逃した民主党国会議員の職務怠慢以外の何物でもありません。
 NHKの報道を国会の立場から詳細に検証し、政府の責任を明らかにすることが非常に重要です。