参考写真  9月21日、厚生労働省の関東信越厚生局は、診療報酬約8300万円を不正に請求したとして、東京医科大茨城医療センター(東京医大霞ヶ浦医療センター)の保険医療機関の指定を、12月1日から5年間、取り消すと発表しました。大学病院が保険医療機関の指定を取り消されるのは前代未聞。地域医療への深刻な影響が懸念されます。
 東京医大茨城医療センターは、阿見・稲敷地域の中核病院です。保険医療機関の指定が取り消されると、診療で公的保険を使うことができず、患者は医療費全額を自己負担することになります。
 東京医大茨城医療センターは、2009年7月に不正請求があったことを自らの公表しました。それを受けて、関東信越厚生局は。2011年10月までの間に、計14回の監査を実施しました。不正内容は、センター側が当時発表した3つの加算の算定に加え、補聴器適合検査など3項目が新たに発覚しました。
 医療センターは現在、外来患者が1日1000人、入院患者は1カ月でのべ1万1千人。救急車の受け入れは年3300台にも上っています。地元、阿見町や土浦市、稲敷市、美浦村などの地域住民にはなくてはならない重要な病院です。また、地域がん診療連携拠点病院や肝疾患診療連携拠点病院でもあり、広域的な高度で専門的な医療を担っています。
 保険医療機関の指定が取り消されると、一般的な病院では、12月以降、このままの形で病院を存続させることはできなくなります。周辺の病院も受け入れ態勢に限界があり、400人の入院患者を始めとして外来患者は行き場を失う恐れもあります。
 22日午前、井手よしひろ県議ら公明党茨城県議会議員会は、党全国大会のため上京していた都内で緊急の対策会議を開始。善後策を検討しました。その際、過去の事例では、経営権の移譲、あるいは処分期間の短縮など特例が認められて事例があることが報告されました。
 再指定までの期間は原則5年ですが、2000年に国立療養所岩手病院(当時)が3ヶ月で、2007年には静岡県の藤枝市立総合病院が、同じく1ヶ月で、再指定されているケースがありました。 
 しかし、藤枝市立病院の事例では、診療科目が23科ある総合病院全体の保険医療機関の指定が、歯科(インプラント治療)に係わる不正請求)で取り消された事例であり、今回の東京医大の事例と比べれば、軽微な不正請求の事案でした。
 指定取消期間の短縮が認められるかどうかは、全く見込みがたっていません。
 また、医療センター以外では治療ができないと判断された患者には、自己負担分の一定割合を保険者(市町村や健保組合)が直接支払う制度もありますが、その適用は限定的と言われています。
 22日の対策会議では、24日午前中に、地元市町村議員も交えて対策会議を開催し、県知事に対して患者支援を十分に行うよう申し入れを行うことを決定しました。