参考写真 「復興予算の流用問題」が、テレビや新聞などで大きく報道されています。10月29日付けの東京新聞には次のような記事が掲載されました。
震災復興予算 原発輸出調査にも流用
東京新聞2012年10月29日
 東日本大震災の復興予算の不適切使用問題で、2011年度三次補正予算に盛り込まれた復興予算のうち5億円を、経済産業省がベトナムへの原発輸出に関する調査事業費として支出していたことが本紙の取材で分かった。被災地復興と関係ない海外の原発推進事業にまで流用されていたことで、復興予算の使途決定のずさんさがあらためて浮き彫りになった。
 経産省によると復興予算を使ったのは、日本政府の受注が2010年10月の日越首脳会談で決まったベトナムのニントゥアン第二原発の建設に向け、現地で地震を引き起こす恐れのある断層の有無などを把握する調査。
 調査は日本政府が今年1月、敦賀原発(福井県敦賀市)などを運営している日本原子力発電に随意契約で委託した。

 この復興予算の流用問題は、民主党政権の力量不足を如実に物語るものです。最近の井手よしひろ県議の街頭演説などの原稿から、「復興予算の流用問題」に対する考え方をご紹介します。
  • 東日本大震災から間もなく1年8カ月、被災地は2度目の冬を迎えようとしています。公明党は、被災直後から、特に被害の大きかった岩手・宮城・福島の3県に、国会議員と地方議員が通い続け、地元の議員と共に、復興・復旧、そして被災された皆様の生活再建に取り組み続けています。甚大な被害を受けた被災地は、未だに、がれきの山が残った仮置き場が広がり、復興公営住宅の建設は遅れ、今なお多くの方が仮設住宅での不自由な生活を余儀なくされています。

  • そのような中、発覚したのが、「復興予算の流用問題」です。被災地の復興予算が、捕鯨調査やテロ対策のための車両購入、刑務所でのショベルカー購入など、どう考えても被災地の復興と直接関係のない、もしくは極めて関係性の薄い事業に充てられていたのです。本来、通常の予算で対応すべき事業のはずが、「復興」の名目に"便乗"して計上されたのであれば、決して許されることではありません。これでは、被災者はもとより国民の皆様が憤るのも当然であります。
  • 一方、肝心の被災地では、住宅再建や道路・港湾の復旧、がれき処理など多くの事業が遅々として進んでいない状況が続いています。例えば、被災地で要望が多い商店街や産業を再生するためのグループ補助金は、予算額が不足して、申請の約6割が却下されており、希望する全ての企業に行き届いていない現状です。

  • 流用や便乗と思われる予算執行の一方で、被災地の復興に、真に必要な予算が不足するようでは、まさに本末転倒であり、民主党政権の「甘い、鈍い、遅い」ずさんな予算査定が招いた結果であると厳しく指摘せざるを得ません。

  • 公明党は、流用問題発覚後、直ちに関係省庁に事実関係をただした上で、10月11日、復興対策本部長の井上義久幹事長を先頭に、政府に対し、復興予算の適正化を求める緊急提言を申し入れました。この緊急提言で、復興予算を使った全ての事業について、復興の基本方針に合っているかどうか、1つ1つ厳格に検証し、その結果をもとに復興と関連のないもの、不適切なものについては、予算の執行停止や組み替えを行うよう求め、特に被災地から要望の多いグループ補助金や福島県の立地補助金などを増額することを強く要求しています。

  • 5年間で19兆円が必要とされる東日本大震災の復興予算の内、約10.5兆円は、国民の所得税や住民税、法人税の増税などで賄われることになっており、復興とは程遠い形の予算の流用は、「復興のためなら」との国民の気持ちを裏切る行為とも言えます。

  • 国会で決定した復興予算を迅速に、適切に、実行するのは、他でもない政府与党の責任です。予算が、何にどう使われたのか、政府与党は国民と国会にきちんと説明すべきです。にもかかわらず、衆議院では委員会に出てこない。参議院で委員会に出てきても「こじつけ」の理由をつけて、逃げの一手で、無責任な発言を繰り返す。これが今の政府・与党です。

  • 東日本復興基本法の中に、公明党が提案した「復興資金の透明化・区分経理」という項目があります。
    阪神淡路大震災など、これまでの復興予算は、例えば震災で被災した高速道路の復旧も、全国の他の道路の補修と同じように国交省予算の中に組み込まれ、後から見直してもそれが震災復興のためのものかどうか区別することができませんでした。何にいくら使われたのか、後で判別ができないのです。
    それを、東日本大震災の復興予算では、公明党の主張によって復興予算を使った事業だけを抜き取って区分経理するようにしたので、おかしな使われ方をチェックできるようにしたのです。

  • 公明党は、今後国会審議を通じて、民主党政権による"便乗予算"を排除し、復興予算が被災地に優先的に使われるように厳しくチェックしてまいります。そして、一日も早い被災地の復興に向けて全力で取り組んでまいります。