もう“やるやる詐欺”には騙されない!
参考写真 減税日本の河村名古屋市長が、市民税の減税を公約にして、市長選に勝利したのは記憶にあたらしいところです。
 河村市長は当初、市民税の10%引き下げを公約にしました。しかし、市長に当選してみると、厳しい名古屋市の財政状況と市議会の反対押し切られる形で、今年度から個人と法人の市民税がともに、減税幅を半減させて5%減税されることで決着しました。
 総務省の調査によれば、平成23年度市民税の所得割を標準税率6%にしている自治体は1743。これは、全体の99.8%に達しています。超過税率で標準税率を上まわたって課税しているのが夕張市(6.5%)、豊岡市(6.1%)と2自治体。反対に減税しているのは北本市(5.4%)と大治町(5.6%)の2自治体のみです。北本市も大治町も単年度分だけの減税ですから、恒久的な市民税減税は、名古屋市が全国の自治体で初めてのことになります。
 さて、11月11日に投票を迎える守谷市長選で、新人候補がこの市民税の5%削減を公約の目玉に掲げました。まさに、この名古屋の河村市長流の市政運営を目指すということのようです。
 しかし、こうした減税を求める市民の声は、東日本大震災以降、大きく変化していると言われています。現に、一時は、こうした減税が大きな流れになるかと思われた地方の首長選挙ですが、名古屋市の動きについて住する首長は出てきていません。少子高齢化の進展や来るべき大規模災害にどう備えるかに、自治体の首長の考え方がシフトしているのです。

 具体的に守谷市の事例を見てみると、平成23年度の決算ベースで市民税は、総額42億円あまり。均等割が9274万円、所得割が41億853万円ですので、5%の市民税減税とは金額ベースで2億542万円の減収となります。この減収を市長の退職金の削減や行政改革で補うとしていますが、非常に大きな壁であることは事実です。この候補者は水道料の引き下げ(必要な予算額は約1億4300万円)、学校給食費の無料化(同2億6000万円)なども公約しています。これだけの単純合計で6億円以上の巨大な負担増(収入減)となります。ましてや、一時的な費用ではありませんので、毎年毎年、守谷市の財政に大きな負担となってきます。

 民主党等への政権交代で、私たちは選挙の際の“やるやる詐欺”には、十分懲りていると思います。新人候補の公約に対しても、その財源について厳しい視点で評価する必要があります。
 さらに、それを向かい撃つ現職にあっても、お互いの公約の優劣を、具体的な数字で選挙民に示す責任はあると考えます。現職は、実際の行政の長として、様々な政策の裏付けとなる予算や費用算出の資料を握っています。この情報は有権者に公開され、選挙の判断材料とされなくてはいけないと思います。
 多選の是非だけが選挙の争点のように語られていますが、茨城の玄関口・守谷市にあっては、未来志向の建設的な意見が戦わされる市長選であることを強く望みます。