参考写真 12月21日、12月定例県議会の最終日に当たり、議会運営委員会で「議会運営についての申し合わせ事項」が一部改正されました。
 今回の改正の主旨は、本会議場のスマートフォンやタブレット端末、パソコン等の持ち込みを禁止するものです。また、本会議や委員会で議員自らが写真撮影をすることを禁ずる内容です。
 この2つの改正は、市長選に立候補して県議を辞した元県議が、スマートフォンで撮影した本会議場の写真をネット上で公開したことが発端でした。言うまでもなく理解は言論の府であり、本会議場であたかも隠し撮りのように写真を撮影し、公開することは厳に慎まなくてはなりません。こうした一部の元議員の突出した行為をもって議会での情報化に大きなブレーキがかかってしまったことは大変遺憾です。
 同時に議会運営委員会では委員会等(常任委員会、特別委員会)でのパソコン等の活用も議論されました。パソコン利用は、ワープロ機能に限って利用が認められたものの、インターネットの接続が不可とされました。
 「パソコンを筆記具の一種としては認めるが、ネットでの情報収集は認めない」という、まことに時代錯誤の結論に至ってしまいました。
 知事と議会は地方自治の車の両輪と言われます。しかし、知事・執行部の情報量と、議員一人ひとりのそれは圧倒的な差があります。委員会審議にあっても、議員一人に対して、答弁に当たる職員は30人以上もいるのが現実です。こうした状況の中で委員会の審議をより活性化し、その内容を深化させるためには、ネット環境を活用して情報を集めること、さらには質問等にあっても、資料を分かりやすく執行部や傍聴者に示すために、スライド(フリップ)や動画などでプレゼンテーションを行う事がどうしても必要です。
 それが、今回の議会運営委員会の議論で、一挙に後戻りしてしまいました。
 議席に一人一台のパソコンを設置したり、議員全員にタブレット端末を配布する先進的な議会が現れる中で、茨城県議会の対応は残念で仕方がありません。
 さらに指摘すれば、議会の議論が集約されている「会議録データーベース」の接続も認められなかったのは驚きとかしか表現できません。茨城県議会では、本会議は平成元年以降、委員会は平成3年以降の会議録が登録され、ネット上にデーターベースとして公開されています。
 委員会の質疑は一問一答式であり、基本的には執行部に事前通告も行ないませんので、最低限過去の議論を参照することなしに、議論を深めることはできません。その意味で議会の公式データーベースである会議録へのアクセスが認められないと言う事は非常に困惑を感じています。
 こうした現状の上で、県議会でのパソコン等の活用について、個人的な見解をまとめてみました。
  • 県議会本会議には、議員個人が所有するパソコン等(スマート、フォンタブレット端末も含む)の持ち込む事は禁止する。

  • 県議会議席にラップトップ・パソコンを配備して、議案に関する資料、議会会議録、新聞データーベースなどインターネット情報に関するアクセスを認める。

  • 常任委員会、特別委員会等については、委員長の許可のもとパソコン等の利用を認める。そのためにWiFiや電源などのパソコン利用環境を整備する。

  • 委員会等では、パソコン等を利用した質問資料の表示を認める(プロジェクター等の活用を認める)。

  • 本会議、常任委員会等では、議席からのメールの送受信、ブログやSNS等の書き込み、ネット掲示板等への書き込みは認めない。

参考写真
議場でパソコンOK 武雄市議会
西日本新聞(2012年12月4日)
 佐賀県武雄市議会(定数26)は、本会議場で市議と執行部のパソコン使用を認めることを決めた。「想定外」の質問や答弁で審議が中断するケースが少なくないため、その場で過去の議事録や条例を検索できるようにし、円滑な議事進行を図る。12月定例会の一般質問が始まる10日から運用する。
 同市議会は3月、議場に大型モニターを設置し、質問や答弁の資料を映しだすパソコンの持ち込みを容認。それでも、執行部側が細かな質問の答弁に窮することがあり、市議側も議論を深める効果が期待できるとして議会運営委員会でインターネット検索を認めることにした。
 議場に庁舎内の公共無線LANを整備し、パソコンは各自の持ち込み。庁内LANでアダルトやギャンブルサイトには接続できないが、審議とは無関係のサイト閲覧は可能。議運の吉川里己委員長は「それぞれのモラルに任せたい」と話した。
 全国市議会議長会によると、全国809市議会(昨年12月現在)のうち29市が議場で議員のパソコン使用を認めている。