参考写真 12月26日、特別国会が召集され自民党の安倍晋三総裁が、総理大臣に選出されました。公明党からは太田昭宏前代表が国土交通大臣として入閣。27日には副大臣、政務官も任命され、公明党より復興副大臣・浜田昌良、厚労副大臣・桝屋敬悟、経産副大臣・赤羽一嘉。政務官は、財務政務官・竹内譲、農水政務官・稲津久、環境政務官・秋野公造の各氏が就任しました。
 安倍連立政権のスタートに当たって、自民党と公明党は25日の党首会談で連立政権合意を交わしました。このブログでは、政権合意の内容を確認しておきたいと思います。

 自公両党は、先の衆院選で互いに重点政策を訴えてきました。これを踏まえ、連立政権合意は、自公政権が今後4年間で重点的に取り組む課題を記したものです。内閣として取り組む課題を明記するのが基本ですが、憲法と政治・行政・公務員制度改革は国会が取り組む課題として共通認識を盛り込みました。
 連立合意のポイントは、まず公明党が訴えてきた「日本再建」という言葉を前文に明記し、政権合意の中できちんと位置付けました。具体的な取り組みの中でも、公明党の主張が随所に反映されています。
 例えば、「東日本大震災からの復興、福島の再生なくして日本再建はない」との強い決意で、復興を最優先課題として、政府を挙げて取り組むことを盛り込んでいます。
 また、防災・減災対策では、自然災害に備え、防災機能を総点検し、国民の命を守る防災・減災のための公共投資を計画的に実施するとしました。これは公明党が掲げた防災・減災ニューディールの基本的な考えを反映したものです。
 景気・経済対策では、大型の今年度補正予算で、景気悪化にあえぐ地域経済や中小企業に配慮する方針を示しています。
 社会保障と税の一体改革では、社会保障制度改革国民会議での議論を促します。生活保護の適正化へ不正受給対策を徹底するだけでなく、自立・就労などの支援策も併せて講じることになりました。消費税増税前の景気回復や複数(軽減)税率導入の検討も、公明党の主張が反映した項目です。
 エネルギー政策について公明党は、原発に依存しない社会をめざすことを訴えてきました。これを踏まえ、連立政権合意では、省エネルギーや再生可能エネルギーの加速的な導入などで可能な限り原発依存を減らしていくことにしました。
 民主党政権で揺らいだ外交・安全保障に関しては、日米同盟の強化を図り、日米関係を再構築します。それと併せ、中国・韓国・ロシアなど近隣諸国との信頼の増進に取り組んでいきます。環太平洋連携協定(TPP)は情報開示と国民的議論が不十分な上に、守るべき「国益」があいまいなままでは国民の合意と理解は得られません。公明党は国会にしっかり議論できる場をつくるべきだと訴えてきましたが、その具体化に取り組みます。
 憲法改正をめぐっては、あくまでも国会での議論促進を基本とすることで合意しました。衆院憲法審査会では現在、憲法の各章・各条ごとに検証する逐条審査を実施しており、検証作業が進んでいます。国会での十分な議論を継続し、国民的議論を深めていきます。
 衆院の選挙制度改革と定数削減については、自民、公明、民主の3党が次期通常国会終了までに結論を得た上で必要な法改正を行うことで合意しています。今回の衆院選でも小選挙区の1票の格差や死票が多かったことなどの問題点があらためて浮き彫りになりました。公明党は、より民意を反映した選挙制度の実現に全力を挙げます。
 このほか、国会議員に掛かる経費の縮減、道州制の導入推進も公明党の主張で合意文書に明記されました。「教育再生」には不登校対策、通学路安全対策、幼児教育無償化の推進を盛り込みました。
自民党と公明党の連立政権合意
 自民党、公明党の両党は、今回の衆院選の結果、再び政権を担当する重責を担うこととなった。しかし、決しておごることなく、真摯(しんし)な政治を貫くことによって結果を積み重ね、国民の本当の信頼を取り戻さなくてはならない。
 われわれはその信頼の上に、国民の英知を結集して国難に立ち向かい、わが国が本来持っている力と夢を取り戻し、日本再建を果たす決意である。
 われわれは、この新たな連立政権のスタートに際し、以下に掲げる重点課題に全力で取り組むことを確認する。
1.東日本大震災からの復興と万全な防災・減災対策
 東日本大震災からの復興を最優先にして政府を挙げて取り組む。特に、一日も早い福島の再生のための具体策を提示し実施する▽巨大地震などの自然災害に備え、防災機能を総点検し、国民の命を守る防災・減災のための公共投資を計画的に実施する。
2.景気・経済対策
 本格的な大型補正予算(案)を2013年度予算(案)と連動して編成、成立させ、景気対策に万全を期す。特に、地域経済や中小企業に十分配慮する▽経済財政諮問会議と日本経済再生本部を設置する。この強力な司令塔の下、物価目標2%を設定し、大胆な金融緩和を断行することによりデフレからの脱却を図る▽エネルギー・環境、健康・医療などの成長分野における大胆な規制緩和、新たな需要喚起、創出などにより、名目3%以上の経済成長を実現する。
3.社会保障と税の一体改革
 医療、介護、少子化対策など社会保障制度改革国民会議における議論を促進する。また、生活保護については不正受給対策を徹底するとともに、自立、就労などの支援施策と併せて、その適正化に向けた見直しを行う▽消費税率引き上げ前の景気回復を着実に実現する。また、複数税率導入の検討など低所得者対策を確実に実施する。
4.原発・エネルギー政策
 原発の再稼働については、国際基準に沿って安全第一主義を徹底した原子力規制委員会の専門的知見の判断による。同時に、省エネルギー、再生可能エネルギーの加速的な導入や火力発電の高効率化等の推進によって、可能な限り原発依存度を減らす。
5.教育再生
 いじめ対策、不登校対策、通学路安全対策等を充実させる▽教育委員会制度の在り方を抜本的に見直す▽幼児教育の無償化への取り組みを財源を確保しながら進める。
6.外交安保
 日米同盟の強化を図り、両国の関係を再構築し、中国、韓国、ロシア等近隣諸国との信頼の増進を図る▽領土、領海、領空の保全を図るため、必要な防衛・海保予算を確保する▽(北朝鮮の)拉致、核、ミサイル問題に毅然(きぜん)と対処し、主権を守る外交を展開する▽自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)をはじめ自由貿易をこれまで以上に推進するとともに、環太平洋連携協定(TPP)については、国益にかなう最善の道を求める。
7.憲法
 憲法審査会の審議を促進し、憲法改正に向けた国民的な議論を深める。
8.政治・行政・公務員制度改革
 衆院の選挙制度改革、定数削減については、(自民、公明、民主)3党合意を基本にその実現を図る。併せて、国会議員にかかる経費を縮減する。また、国・地方にわたる公務員の総人件費を縮減する▽道州制の導入を推進する。