参考写真 1月17日、井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党議員会は、政策勉強会を開き「中小企業金融円滑化法」に関して、県商工労働部の担当者より県内企業の利用状況や円滑化法打ち切りの影響などについてヒアリングしました。「中小企業金融円滑化法」は、中小企業や住宅ローンの借り手が金融機関に返済負担の軽減を申し入れた際に、できる限り貸付条件の変更等を行うよう努めることなどを内容とする法律です。リーマンショック以降の金融危機・景気低迷による中小企業の資金繰り悪化等への対応策として、平成21年(2009)12月に約2年間の時限立法として施行されました。期限を迎えても中小企業の業況・資金繰りは依然として厳しいことから、平成25年(2013年)3月末まで再延長されています。
 この法律によって、資金繰りに困った中小零細企業は、元本の返済猶予や金利の減免などを金融機関に申し入れ、当面の負担が軽減されています。モラトリアル法などと呼ばれることもあります。
 公明党は「中小企業金融円滑化法」の再々延長を強く主張していますが、、麻生財務大臣は「再々延長はない」と断言しており、このままでは3月末で失効することになっています。金融円滑化法が失効することによって、金融機関が返済条件の変更を認めなくなると、倒産予備軍は6万社に上るとの一部報道もあり、一部中小企業経営者に不安が高まっています。
 こうした不安に対しては、昨年11月に金融担当相から「円滑化法が期限切れになっても、返済条件の変更に柔軟に対応すると行ったスタンスは恒久的措置である」との方針が金融機関等に対して発せられています。期限切れになったからと行って、翌月から返済条件が急に厳しくなると言うことはありません。過激なマスコミ報道に翻弄される必要は内容です。

 円滑化法による貸し手の大半は地銀と信金で占められています。一方、利用企業の半数は2回以上利用するリピーターとなっています。リーマンショックや震災等で発生した「システミック・リスク」を軽減する効果はあったものの、「個別リスク」の高い構造的な経営課題を抱える中小企業に対し、中朝的な視点から事業再生支援を果たせたとは言い難いものがあります。(システミック・リスクとは、個別の金融機関の支払不能等や、特定の市場または決済システム等の機能不全が、他の金融機関、他の市場、または金融システム全体に波及するリスクのことを言います。リーマンブラザースという一つの金融機関の破綻が、様々な金融機関に波及して、金融業界全体の危機に繋がったリスクを言います)
 本来、中小企業支援に求められるのは、事業再生に向けたコンサルティング機能であり、資金形態はローンではなく資本性資金です。そこで改めて期待されるのは「企業再生ファンドの活用」です。企業に資本性の資金が入れば、設備の統廃合や人員配置の合理化といったコスト削減策から、海外進出、新製品開発、業種転換など中長期的な成長戦略まで実施できる可能性が生まれます。これによって、真の意味での経営改革がなされ、貸し手の金融機関にとってもあるべき姿で債務者区分を上げることが可能になります。
 茨城県では、昨年12月に“新事業再生ファンド”が創設されました。金融機関から債権を買い取り、中小企業の再建を図るのが目的です。中小企業基盤整備機構、金融機関、茨城県信用保証協会などが20億円を出資して立ち上げられました。
 井手県議らは県に対して、この再生ファンドの有効活用と、個々の中小企業へのコンサルタント機能を充実させるために保証協会の人材の拡充などについて要望しました。