0増5減の「衆院選の1票の格差」是正
参考写真 最高裁が違憲状態とした「衆院選の1票の格差」是正に向けて、具体的な議論が進んでいます。茨城県内では、衆院茨城5区が区割りの見直し対象に浮上しています。茨城5区の人口(基準は2010年の国勢調査人口)は、27万1172人。これは、国会で決められた「0増5減」をもとに試算をすると、見直し作業の前提として決定した全国最少の選挙区(鳥取新2区、人口29万1103人)に満たず、隣接する選挙区から編入して人口を増やす必要があります。衆院選挙区画定審議会(会長・村松岐夫京大名誉教授)の線引き基準素案では、◎見直しは必要最小限とする、◎選挙区は飛び地にしない、◎市区町村は原則して分割しない、◎地勢、交通を総合的に考慮する、と定められています。その基準に基づき審議会は、隣接する茨城4区から常陸太田市または東海村を、5区に編入する改定案を想定しています。
 審議会から意見を求められた橋本知事は、2月7日に「県議会議員の選挙区も考慮して見直すべきだ」とする意見書を提出することを決めました。意見書は具体的な市町村名を特定していませんが、茨城県議会議員選挙では、常陸太田市が同じ茨城4区の大子町と1つの選挙区であるのに対し、東海村は単独の選挙区のため、「茨城5区に編入されるのは東海村」との見解を暗に示したものと受けてめられます。
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 日立、高萩、北茨城の3市で構成する5区の人口は、27万1172人。東海村(人口3万7438人)を編入すると、30万8610人となり下限値の29万1103を上回ります。同じように常陸太田市を編入すると32万7422となり下限値をクリアしますが、茨城4区の人口が5区と逆転してしまうということにもなります。
 常陸太田市長は5区への編入に対し否定的な見解を表明しており一方、東海村長は知事や審議会の客観的な判断に委ねる姿勢と言われています。
 今までの議論の流れをみると、「茨城5区への編入は東海村」との方向性が見えてきます。
 審議会は今回の区割り改定を1票の格差是正の緊急措置にとどめ、「平成の大合併」に伴い二つの選挙区に分割状態にある県内5市の見直しなどには、今回は踏み込まない方針です。知事の意見などを参考に、5月26日までに改定案をまとめ、安倍晋三首相に勧告します。