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 2月4日、茨城に春の訪れを告げる「真壁のひなまつりー和の風第11章」が始まりました。今年で11回目の真壁のひなまつり。この地区は東日本大震災で大きな被害を受け、登録文化財の約8割が被災。まだブルーシートをかぶった建物も多く、復興もやっと緒に付いたばかり。昨年は閉館したままだった会場中央の国登録有形文化財「旧真壁郵便局」の修復工事もやっと終わり、2年ぶりに開館にこぎ着けました。館内には市民手作りの折り紙のつるしびなが展示されるなど、復旧・復興に向け着実に歩みを進める町の復興のシンボルになっています。
 「町割り」と呼ばれる城下町の街並みに、登録文化財の見世蔵、土蔵、門などが軒を連ね、江戸時代から明治、大正、昭和、さらに現代までのひな人形が、計約160軒の店先や土蔵などに飾られ、訪れた人が自由に見ることができます。
 旧真壁町は約20年前から、歴史的建造物を町おこしに生かす取り組みをスタートさせました。2003年には、散策する人たちを温かくもてなそうと、21棟でおひな様を飾り、蔵や庭を開放しました。その取り組みが年を追って町全体に真壁のひなまつりとして広がりました。
 一昨年の東日本大震災では、真壁町の重要伝統建造物保存地区の特定物件125件の内、100件が被災しました。この歴史的な文化財を復興させるために、国、茨城県、桜川市は“文化財投災害復旧事業”を予算化。特定物件の復旧には、費用の9割を桜川市が負担(内7割は国負担)、7.5%を県が負担し、実質的な所有者の負担は2.5%となる制度を創設しました。この制度を活用し22件が改修を完了。現在73件が本復旧のための工事中または計画中です。費用の問題も深刻ですが、改修作業は「在来工法」が原則。左官や瓦などの職人不足もあって、復興への道のりは、まだまだ遠いのが現実です。
 登録文化財第1号の「潮田屋」でも、家屋の大規模な修繕工事は行われています。被害が大きかった土蔵は、歴史的な構造そのままに竹と土を使った改修が丁寧に進められていました。
 清酒公明で有名な「村井醸造」も、その自慢の漆喰蔵も破れたビニールシートが被されたままです。広大な敷地内には、仕込み蔵や製品蔵、しょうゆ蔵など10件の文化財が並んでいます。明治初期からの建物も多く、土壁、板塀、大谷石造りの蔵は、大半が崩れてしまいました。仕込みを終えたタンクや酒瓶なども多くが破損し、この街のシンボルであった高さ20メートルの煙突も、そのてっぺん部分が破損しました。今、被害を受けた建物の周りには足場が組まれ、瓦屋根の上に架設のトタン屋根が設けられ改修工事が進んでいます。
 真壁町のひなまつりは、春の訪れを告げるイベントでもあるとともに、震災からの復興を実感する節目のイベントでもあるのです。

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“狐の嫁入りとお雛様”。「桜川本物づくり委員会」のメンバーが、被災した塀の大谷石で枠をつくり、白い石を敷いて灯籠や山に見立てた石を置いて箱庭を作成。真壁高校農業科の生徒が、植木を飾るなどして情景をもり立てました。

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改修工事が終わり開館された国登録有形文化財「旧真壁郵便局」。

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御陣屋前通りにある「旅籠ふるかわ」は、2階の出窓のスペースに雛を飾っています。この女将・古川さんのご主人は瓦屋さん。自宅を直す余裕もない忙しさと言う。

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街の門角には様々な心配りが……町を挙げてお客様を迎える気持ちが溢れています。