2月20日、井手よしひろ県議は、JR常陸多賀駅前で県議会報告を行い、県が管理する道路、橋梁、トンネルなどの公共インフラの管理システム(データベース)整備を強く訴えました。
紙ベースの管理台帳のマップデジタイズ(数値図化)
 公共インフラの維持管理システムの構築の手順は、第1段階として、紙ベースの道路台帳、橋梁台帳を画像データとして取り込み、PDFファイルなどで管理できるようにします。第2段階として、紙ベースのデータをマップデジタイズ(数値図化)します。すでに、茨城県などでは補修や修理などに使う実地測量データは、数値化されたデータで納品されており、すぐに活用できます。
 こうして作成された数値化され地図データーは、GIS技術によってより有効に活用できます。
GISによって視覚的に把握できるシステムを
 インフラ維持管理のポイントとして、インフラ点検の効率化や正確性、データ分析や解析結果などが求められ、GIS(地理情報システム)を活用することで、判定結果を視覚的に把握でき、損傷や劣化情報を早期に捉え、適切なタイミングで補修・補強することで、効率的で効果的に、コストを押さえたインフラの長寿命化が図れます。
 データベース化で維持管理業務の合理化をGISを運用する上で重要となるのが、正確な位置情報や、設計図・竣工図などから管理や点検に必要なインフラ情報を最適化(データベース化)することで、点検作業やデータベースの標準化により、維持管理業務の合理化が図られ、必要なとき必要な場所に最適な処置を施すことが可能になります。
 また、GIS上に展開されたデータは、国=県=市町村という行政の壁を乗り越えることが容易に出来るようになります。管理の主体が異なる道路も、ユーザーの立場からみると「安全に使える道」という意味で何ら区別はありません。一定のルール付けさえあれば、行政側のデータの共有は大きな意味を持つことになります。
 一方、システム化による管理者の効率性だけでなく、インフラを利用するユーザー(市民)への、安全・安心の情報を共有・提供する仕組みも重要です。例えば、道路利用者などから寄せられる相談・苦情などを分析し、問題発生の原因などをフィードバックすることが求められます。
新たな管理システムはクラウド上で活用
 厳しくなる財政事情の中、急激に老朽化が進むインフラ施設を効率的に管理していくためには、維持管理分野にセンサー(特にGPSセンサー)やモバイル端末、通信機器、クラウドコンビューティングなどのICT技術を積極的に活用していくことが有効となります。
 そのために初期投資コストは掛かったとしても、予防保全により問題を早期発見し、対策することでインフラ施設の寿命は延び、維持管理のライフサイクルコストはシステム整備費と比べ、比べものにならないほど下がると思われます。
従来型の管理「事後保全型」から「予防保全型」ヘ
 高度成長期に大量に整備された社会インフラが老朽化し、相次ぎ更新時期を迎えています。これまでの維持管理は、問題が起こったときに個別対応する方法=事後保全が主流であり、平常時にはあまりシステマチックな安全チェックが行われていませんでした。また、管理は技術者の経験や勘に頼っている面が強くみられました。
 そのような中、社会インフラの維持管理は、厳しい財政事情、熟達した技術者の減少など、従来のやり方ではインフラの維持管理は困難であり、新たな方策が求められます。
 公共インフラの劣化が進む前にこまめに補修するのが予防保全。一方、対症療法的に劣化箇所を補修するのが従来の事後保全。予防保全のほうが事後保全よりも構造物を長持ちさせて更新時期を先送りすることができ、大掛かりな補修も抑えられるのでコスト削減につながります。インフラの維持・補修は事後保全から予防保全へのシフトが進められています。