成年後見制「選挙権喪失」見直しへ…自公が合意
読売新聞(2013/3/19)
 自民、公明両党は18日、成年後見人が付いた人は選挙権を失うとの公職選挙法の規定を東京地裁が「違憲」と判断したことを受け、見直しを検討する方針を決めた。
 公明党が同日の政府・与党協議会で要望、自民党も同意した。
 今後、「成年後見人が付いた人でも、場合によっては選挙権を認める」との方向で議論を進める考えだ。
 公明党の漆原良夫国会対策委員長は協議会後、記者団に「(東京)都議選も参院選も選挙権を行使できるような手順でやるのが当たり前」と述べ、都議選(6月23日投開票)までの法改正に意欲を示した。自民党の石破幹事長も記者会見で「法改正は必要だ」と明言。菅官房長官は18日の記者会見で「政府としては(控訴するかどうかも含め)まだ協議中」と述べるにとどめたが、公明党幹部は「政府が控訴したら法改正はできなくなる」として、控訴の見送りを示唆した。

都議選、参院選でも選挙権が行使できるよう早期法改正を
 3月18日、政府と自民、公明の与党両党は、国会内で協議会を開き、与党両党は、成年後見人が付くと選挙権を失うとしている公職選挙法の規定を見直し、速やかに同法の改正をめざす方向で一致しました。
 被後見人の選挙権問題について東京地裁は、知的障がいのある被後見人の女性が国を相手取り、選挙権があることの確認を求めた訴訟の判決で「(公選法の)規定は、社会的身分による選挙権の差別を禁じた憲法に違反する」とし、女性の選挙権を認めていました。
 協議会の席上、公明党の井上義久幹事長は、東京地裁の判決を受け、被後見人の選挙権回復について「選挙権に関わる重要な問題であり、政府・与党としてきちんと法改正も含めて対応すべきだ」と訴え、公選法の改正が必要だと強調。これに対して、自民党の石破茂幹事長も、「ぜひ、やらなければならない」と同意し、同党内での議論を急ぐ意向を表明しました。
 成年後見制度について公明党は、被後見人となった際の選挙権喪失など利用者の権利制限規定を見直す必要性を指摘し、党成年後見制度促進プロジェクトチームが昨年7月、「成年後見制度利用促進法案」の要綱骨子を発表しています。

 これに先立ち、公明党の井上義久幹事長は3月15日の記者会見で、成年後見人を付けた人への選挙権を認めない公職選挙法の規定は違憲とした東京地裁判決について、「立法府として重く受け止め、公選法の改正に早急に取り組むべきだ」と述べた。その理由として「憲法は基本的な人権として選挙権を保障している。広く認めるべきだ」と強調しました。