女性の再就職 「就業体験」軸に後押し、中小企業 研究開発、海外展開促す
 5月24日、公明党の山口那津男代表は、首相官邸で安倍晋三首相と会談し、公明党が取りまとめた提言「日本経済再生のための成長戦略」を申し入れました。
 これに対し、安倍首相は政府が6月に決定する成長戦略に「反映できるよう努力したい」と答えました。
 席上、山口代表は「中小企業は潜在能力の宝庫」として、中小企業支援を強力に進めていく必要性を強調。さらに、女性や若者も成長の大きな担い手になると訴えました。
 公明党の成長戦略は(1)エネルギー・環境(2)健康・医療(3)農林水産業(4)文化、観光振興、地域活性化(5)中小企業(6)女性・若者(7)科学技術・イノベーション、宇宙、海洋研究開発―の七つの柱で構成。民間投資や消費を促し、景気を本格的な回復軌道に乗せることで、景気回復の恩恵を地方や中小企業、家計にまで広く行き渡らせることをめざします。

 最大の特徴は、中小企業や女性・若者支援を強力に打ち出したことです。
 具体的には、女性の再就職支援のため、インターンシップ(就業体験)制度やトライアル雇用(試行雇用)制度を継続。また、非正規労働者の正規雇用への転換や処遇改善に取り組む事業者に対し助成金を活用するとともに、短時間正社員制度の拡充、ICT(情報通信技術)を活用したテレワークや在宅勤務の導入を促します。子育て世帯の収入増加へ、政労使による「賃金の配分に関するルール」策定も盛り込みました。
再生エネ 「緑の贈与制度」を創設、農林水産物 輸出額を1兆円に倍増
 中小企業支援では、エネルギー・環境や健康・医療・介護などの成長分野に対する研究開発を促進するため、研究開発促進税制の税額控除率引き上げの検討を明記。海外でのワンストップ支援の体制を強化し、中小企業の海外展開を後押しします。
 その他の成長分野でも手厚い支援策を網羅しました。例えば、スマートメーターなどの活用で、消費者が効率的にエネルギー需要のコントロールが可能になる「エネルギーマネジメント」を推進。子や孫に、太陽光パネルなど再生可能エネルギー関連投資のための贈与を行った際、贈与税を軽減する「緑の贈与制度」創設の検討を打ち出しました。
 健康・医療では、治療や観光などを一体とした「医療ツーリズム」を促進。安価で使い勝手がいいロボット介護技術の普及や、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を活用した難病治療も進めます。
 このほか、(1)農地の担い手が利用する農地面積割合を約5割から10年間で8割へ(2)農林水産物の輸出額を1兆円に倍増(3)日本のモノやサービスを海外に売り出す戦略と外国人観光客による観光振興を結び付けた「クール・ジャパン観光」の促進―なども示しました。
 記者会見で公明党の石井啓一政務調査会長は、公明党の成長戦略が「政府の成長戦略に最大限盛り込まれるよう取り組んでいく」と強調しました。
(写真は、つくば発のベンチャー企業・サイバーダイン社が開発を進めるロボットスーツHALの実証実験の模様)