「育児スタートセット(アイティウスパッカウス)」 7月4日、少しショッキングな見出の情報が、AFPなど外国通信社から配信されました。いわく、「英王子夫妻に“コンドーム入り”出産祝い、フィンランド政府」との記事です。
 AFP=時事電によると、7月中旬に第1子が誕生する予定のウィリアム英王子と妻のキャサリン妃に、事もあろうかフィンランド政府からの前祝いとして、“コンドーム”が贈られたという内容です。いかにジュークがお好きな国民性とはいえ、日本人にとっては眉を顰める内容です。
 しかし、その内容をよく読むと、フィンランド政府が贈ったのは、確かにコンドームも含まれていますが、フィンランド政府が国民に贈っている「育児スタートセット(アイティウスパッカウス)」というものだそうです。これは、出産を間近に控えるフインランドの全夫婦に贈られていますものです。
 男児にも女児にも合う色のベビー服や防寒着、幼児靴、寝具、育児用品などが入っているそうです。華やかな箱は、折りたたみ式のベッドになるというスグレモノ。コンドームは出産後の母体を大事にしてほしい、との意味でセットに含まれています。
 ウィリアム王子夫妻を担当する英王室の広報は「フィンランド政府から非常に心のこもった出産セットをいただき、喜んでいる。非常に親切な計らいであり、大変感謝している」と述べています。
 この贈り物の中にコンドームが入っていたことは、在英フィンランド大使館も正式に認めています。大使館広報は通信社の取材に対し「夫妻に贈られた箱にはコンドームも入っている。フィンランドで全ての妊婦に贈られる箱とまったく同じものだ。理由は、子どもを産んだばかりでも妊娠する可能性があることを忘れずにいてもらうためだと思う」と述べています。
 このニュースを聞いて、フィンランドの出産事情を少し調べてみました。
育児スタートセット「アイティウスパッカウス」
 フィンランドでは、妊娠6ヵ月に入ると、「アイティウスパッカウス」と呼ばれる育児スタートセットか、もしくは現金(140ユーロ)が支給されます。セットのほうが、現金をもらうよりはるかに価値がある内容で、初めての子どもの時は「アイティウスパッカウス」を選ぶ人が相当多いようです。赤ちゃんの爪切りやお風呂のお湯を計る温度計など、ついつい揃え忘れてしまいそうな物まで入っています。
 フィンランドでは、妊娠が判明したら住んでいる地域の「ネウヴォラ」に届けを出します。「ネウヴォラ」とは日本でいう保健センターのような機能です。妊娠中の定期検診、出産後の子どもの健診や育児相談などが行われます。また「アイティウスコルッティ」という母子手帳が発行されます。
 妊娠9ヵ月までは月に1回、その後臨月までは月に2回、そして臨月に入ると週に1回の検診があります。12週目と20週目に、総合病院で先天性の異常があるかどうかを調べます。12週目はダウン症の検査が行われます。20週目の超音波検診では性別がほぼ確定できます。これらの検査費用はすべて無料です。
 出産予定日の3〜4週間前に、出産する病院の見学会へ参加します。意外なことに、首都ヘルシンキ(人口60万人)で出産できる病院は市内に2ヵ所しかありません。出産までの費用は、日本円換算で約36,000円程度です。
 フィンランドでは、出産する妊婦を社会全体で支えようとする仕組みが整っているようです。

公明党の出産・育児支援策
 公明党は、安心して子どもを生み育てられる社会の実現に取り組んできました。「子育て支援の“元祖”」です。
出産育児一時金の拡充
 出産時の経済的負担を軽減する「出産育児一時金」を創設・拡充してきたのが、公明党です。1994年に30万円からスタートして以来、段階的に引き上げが行われ、現在は42万円になっています。
 また当初、出産から一時金の受け取りまで時間がかかり、退院時に出産費用を全額支払う必要がありました。そこで医療機関などに直接支給する制度を導入させたことから、費用を事前に用意する必要がなくなり、窓口での支払いは42万円を超えた費用のみで済むようになりました。
 さらに公明党は50万円に引き上げ、安心して子どもを産み育てられる社会を築きます。
妊産婦や子どもの医療費助成制度<マル福制度>
 全国各地で、児童の健やかな成長と経済的負担の軽減などを目的に、子ども医療費の助成が拡大しています。厚生労働省の調査によると、多くの自治体で入院、通院の支給対象がそれぞれ就学前などとなっており、所得制限を緩和する動きも広がっています。
 茨城県では妊産婦の医療費も原則無料化されています(一部自己負担あり)。
妊婦健診を無料化
 また、今年4月から、妊婦健診14回分の公費助成が恒久的な制度となりました。妊婦健診は1回当たり数千円から1万数千円も掛かるため、公明党は一貫して負担軽減を推進。この結果、今では全ての市区町村で、14回分以上の助成が行われるようになりました。
 2010年度から、白血病などを引き起こすヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV―1)の抗体検査が、健診時の標準検査項目に追加されました。
マタニティマークの普及
 公明党が妊婦に優しい社会づくりをめざし普及・推進してきた、周囲の人に妊婦への配慮を促すマタニティマークが広がっています。9割以上の自治体でマークのキーホルダー配布などを行っているほか、いまでは電車の車内表示、全国各地の高速道路のサービスエリア(SA)とパーキングエリア(PA)の、身体障がい者や車いす利用者などのためのスペースに表示板が設置されるようになりました。
 このマタニティマークは、公明党の松あきら副代表が2005年3月の参院経済産業委員会などで、妊婦に優しい社会をめざし、全国統一のマークを作るよう強く求めたことがきっかけで、06年に決定。その後も、党を挙げて関係省庁や自治体などに推進を呼び掛け、普及・促進に取り組んできました。