世代毎投票率の推移
 選挙戦のたびに話題になるのが若者の政治離れ、投票率の低さです。
 昨年(2012年)12月の衆院選の投票率は全世代で59.32%だったのに対し、20代は37.89%にとどまっています。これは、同世代の約3人に1人しか投票していないことになります。この低投票率は参院選も同様の傾向です。
 若者世代の投票率アップの取り組み。参院選投票日まで残り5日間。「面倒だ」「仕事で忙しい」「政治に関心がない」……そんなワカモノに向けて、早稲田大学国際教養学部の森川友義教授は投票の大切さを熱く訴えています。
 森川教授は、急速に進む少子高齢化により「高齢者世代と比べ、若者世代の絶対数が少なくなっている。その分、政策的にも“高齢者重視”の傾向が強まるなど、国政への影響が著しく低下している」と指摘。「これに加えて、選挙を棄権する若者が増えると、若者にとって、さらに不利益を被ることになる」と警鐘を鳴らしています。
若者が棄権すると生涯4000万円超も損する!?
 その裏付けとして森川教授が著書などで紹介しているのが、内閣府が発表した「経済財政白書」(2005年度)の世代間の受益格差のデータです。これは、政府から生涯に受ける公共サービスなど受益総額と、税金などによって支払った負担額を世代別に表したものです。受益総額と負担額を合計すると、1984年以降に生まれた若者世代は、合計4585万円の損をしていることになる。逆に、43年以前に生まれた高齢者世代は、4875万円の得となります。
 こうしたデータを踏まえ、森川教授は「若者は、社会保障や財政赤字など、将来、自分自身の人生設計にも大きく関わる問題に目を向けてほしい」と訴えています。
ネット選挙の解禁で情報入手より便利に
 さて、投票先を決める際の“強い味方”が、今回の参院選から解禁されたインターネットの活用です。現在、公明党を含む主要政党や候補者から毎日のように発信される街頭演説の様子などの情報が、スマートフォンやタブレット端末などで逐一見ることができます。森川教授は「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の利用で政党・候補者の訴えを手軽に聞くことが可能になった。政治的な知識は以前より上がるだろうし、投票率の向上につながる可能性もある」と期待を込め語っています。さらに、「若者の世代が投票率を押し上げていけば、今の政治に“新たな大きな波”をつくり、社会的にも無視できない存在になる。『たかが1票。されど1票』だ」と、より多くの若者の投票を強く呼び掛けています。
こんな視点から「投票のススメ」、普段とのギャップ効果で異性から好感度アップ!
 身近に投票をイメージするため、森川氏は「投票は『あなたの選択があなたの人生をつくる』ということ。そのことは、恋愛シミュレーションゲームなどで体験している人も多いのでは?」などと分かりやすく呼び掛けています。
 また「投票にかかる時間的なコストは、20〜30分程度。もし、デート前に恋人と投票すれば、社会への貢献度は2倍だ」と紹介するとともに、「選挙に関心なさそうな人が選挙に行ったり、お互いの未来や政治を語れる人になると、普段とのギャップから異性からの好感度がアップする」とも指摘しています。
参考:森川友義教授