がん検診の受診率 “がん”は生涯のうちに約2人に1人がかかると推計されている「国民病」です。がん対策の充実は、絶対に進めなければならない政治の重要課題です。
 ところが、参院選の各政党の重点政策をみると、対策に全く触れていなかったり、熱心ではない政党が多いのが気になりました。
 公明党の重点政策には、放射線療法・化学療法の普及と専門医の育成が盛り込まれている。がんを担当する全ての医師への緩和ケア研修の推進、がん検診率50%以上の達成、がん登録の義務化も明記しています。
 新たな医薬品の承認審査の迅速化に取り組むなど、がん対策推進基本計画の個別目標の実現をめざすと、具体的な政策課題も掲げています。
 公明党の主導で2006年6月に成立した「がん対策基本法」によって、日本は「がん対策先進国」へと大きく転換しました。しかし、一部のマスコミは「基本法制定を主導したのは民主党」と、事実と異なる報道を繰り返しています。これは看過できません。
 当時の民主党は基本法の制定をめぐり、与党との“対決姿勢”を強め、独自案を国会に提出しました。ところが、参院本会議で、自ら「がん患者だ」と語り、与野党合意を求める山本たかし議員が現れ、民主党は「これは病気の話であり、政治の問題ではない」という立場に、その姿勢を転じました。その結果、公明党の主張が数多く盛り込まれた与党案を修正することで合意し、法案が成立した経緯があります。山本議員の勇気の言動には深く敬意を表するとともの、民主党としての為体を改めて指摘しておきたいと思います。
 こうした経緯を経て、がん対策は前進してきました。女性特有の乳がん・子宮頸がんの検診受診率向上のための無料クーポン導入では、早期発見・早期治療に効果を上げている。たばこ対策など生活習慣病の改善、がん拠点病院の整備などが、がんによる死亡の減少に成果を挙げ始めています。
 事実、日本のがん患者全体の5年生存率(治療によって、どのくらい生命を救えるかを示す指標)は56.9%にまで上昇、治らない病と言われた時代とは隔世の感があります。
 しかし、国の基本計画に掲げる「がんによる死亡者の減少」「全てのがん患者と家族の苦痛の軽減」などの全体目標の達成は道半ばです。例えば、がん検診の受診率は20〜30%程度にとどまり、目標である50%には遠く及びません。
ピロリ菌検査や除菌推進で“胃がん撲滅”をめざせ!
 参院選の勝利で安定した自公政権が誕生しました。世論は、まず経済再建に大きな期待を寄せています。しかし、この安定政権の中で、がん対策を一気に充実させる必要があります。
 県議会議員の井手よしひろは、その中でも、胃がん対策の推進を強く主張しています。胃がんの主な原因が「ヘリコバクター・ピロリ菌」によることは、医学界の常識になりつつあります。そして、早期発見や予防のためには、いわゆる「ABCリスク検査」の普及とピロリ菌の除菌が効果的です。
 7月24日、国会における胃がん対策の第一人者・公明党の秋野公造参院議員は、長崎大学で行われた安全衛生講座に招かれ、「ヘリコバクター・ピロリ菌除菌に対する薬事承認と保険適用への道のり」と題して講演を行いました。
 この中で秋野氏は、2011年2月に提出した、がん対策に関する質問主意書をきっかけに、「国が胃がんの発生原因とピロリ菌の関係を認め、胃がん対策への動きが大きく転換した」と強調。
 さらに、国会質問などで、ピロリ菌の早期発見、早期治療につながる検診態勢の整備や、胃がん検診へのピロリ菌検査の追加などを求め続けてきたことを紹介しています。
 その上で、5年に一度見直しを行う国のがん対策推進基本計画に、胃がん対策の強化を盛り込むことができ、100万人を超える署名も後押しとなって、ピロリ菌除菌の保険適用を慢性胃炎まで拡大することができたと今までの公明党の実績を報告しました。
 市町村毎のがん検診のあり方を、国を挙げて見直す時期が来ています。既得権を守ろうとする守旧的な考えを改め、胃がん撲滅に全力を挙げたいと思います。