民主党は、国民のための議論を一方的に放棄、再び「抵抗野党」に戻るつもりなのか?
医療・介護のイメージ 8月5日、民主党は社会保障制度改革に関する自民、公明両党との3党実務者協議からの離脱を突然表明しました。理由として、民主党の桜井政調会長らは「自公両党が改革の議論を拒否し続けた」と会見で発表したが、あまりに荒唐無稽で話になりません。
 自公民3党は民主党政権下の昨年6月、消費増税法案の修正で合意した際、社会保障制度改革に関して、有識者で構成する国民会議と3党実務者協議で並行して議論し、関連法の施行後1年以内に結論を出すことで一致しました。3党が党内論議を経た上で合意に至り、法律にした重い決断のはずです。主導したのは、当時の民主党の野田首相です。
 実務者協議は11月に始まりましたが、議論がほとんど進展しないまま、今年6月下旬を最後にストップしていました。その現員は、民主党が持論の最低保障年金創設や現在の後期高齢者医療制度の廃止を掲げたためです。
 最低保障年金は、巨額な財源がなければ成り立ちません。制度設計もあいまなままです。国民の理解や納得が得られません。後期高齢者医療制度も民主党政権下の3年余、廃止に向けた代替案を示せていなません。これでは、3党協議のテーマになり得ません。
 同時に設置され、昨年11月から20回開催された政府の社会保障制度改革国民会議でも、議論の対象からすでに除外されています。国民会議は、民主党が推薦した有識者を含む15人で構成されていますが、そのメンバーが民主党の政策を現実的ではないと判断したのです。
 民主党は本来、この事実を真摯に受け止めるべきです。逆に国民会議がまとめた最終報告書の内容に批判的です。
 報告書には、民主党の政策が盛り込まれなかっただけではなく、制度の持続性を維持するために加入者の負担増が明記されています。消費増税と合わせて国民に一定の負担を求める内容となっています。民主党が3党協議を離脱した背景には、負担増を嫌う国民感情を背景に、党勢の挽回を図ろうとする考えがあります。
 マスコミ各社も、こうした民主党の日和見的な態度を厳しく糾弾しています。
社会保障3党協議 大人げない民主の離脱<8月6日付・毎日社説>
 負担増の項目が並ぶ一方、最低保障年金を核とした年金抜本改革、後期高齢者医療制度の廃止など民主党の看板政策が盛り込まれていないためというが、ちょっと待ってほしい。同会議は野田佳彦政権時に設置し、民主党推薦の委員が何人も入って議論してきたものだ。出された結論が意に沿わないからとテーブルをひっくり返すのは子どもじみてはいないか。(中略)
 野党に転じてから自民党との違いをどう出すのか苦しむのはわかるが、ネタのばれた手品にしがみつき、だだをこねているようにしか見えない。

社会保障会議 制度維持に全世代の負担必要<8月7日付・読売社説>
◆民主の3党協議離脱は無責任だ
 民主党が掲げる最低保障年金の実現には、消費税率の10%への引き上げとは別に、大幅な追加増税が必要となる。後期高齢者医療制度の廃止を唱えているが、既に制度は定着している。廃止の必要性は乏しい。
 現実離れした改革案を振りかざし、受け入れられないからといって協議から離脱する。それではあまりに独りよがりだ。
 そもそも野田政権時代に始まった会議である。民主党は責任を放棄すべきではない。
 国の根幹である社会保障制度については、政権交代があっても揺るがぬよう、与野党が共に改革に取り組むことが重要である。

 社会保障制度は国民生活の基盤です。政権交代によって制度が様変わりすると、国民の暮らしや老後の生活設計が混乱します。だからこそ、3党が与野党の壁を乗り越えて青写真を作るために、設けた話し合いの場が3党協議会です。政策協議は、政党の「ご都合主義」で運営されてはなりません。あくまでも国民のために行われるべきです。民主党に猛省を求めたい。