ワシントンで講演する山口那津男代表 9月10日、訪米中の公明党の山口那津男代表は(日本時間9月11日未明)、ワシントン市内で開かれた「カーネギー国際平和財団」主催の講演会で、「日本の平和戦略と公明党の役割」と題して講演しました。
 安倍首相が、集団的自衛権を行使できるように目指していることに関して、アメリカを訪れている公明党の山口那津男代表は、ワシントンで講演し、憲法の解釈を変えるなら、近隣諸国の理解を得る努力が必要だと指摘しました。
 公明党の山口代表は「変えようとするのであれば、なぜ変えるのか、どのように変えるのか、丁寧に議論を進め、国民の理解を得る必要があります。近隣諸国にも、地域の安定と平和に役立つものだという理解を促す努力が求められます」と述べました。
 山口代表は、集団的自衛権の行使について、「これまでの政府の議論は、精緻で体系的で強固だった」と指摘したうえで、憲法の解釈を変えるには、「相当な論理的な整合性と、国民を説得する実質的な理由、それに、近隣諸国や同盟国が不安や危険を感じないような取り組みが重要だ」と強調しました。



 冒頭、山口代表は今回の訪米の目的について「公明党の役割を知ってもらうため」と強調。日本の首相が6年間で6人代わったことに触れ、「米国の友人の願いは『日本の首相の名前を覚える時間がもっと欲しい』ということではないか。そのためには、次の首相の名前を聞かずに済むように、公明党が安定装置になる」と強調しました。
 さらに、7月の参院選で自民党と公明党の連立与党が勝利して衆参の“ねじれ”を解消したことから、「数の安定」を確保したと説明。その上で、地方議員を含めた議員総数が最多で、女性議員が3割を占める公明党が、自民党と連立を組んでいる意義に触れ、「国民のニーズ(要望)を広く受け止め、現実的な妥協を図る経験を積んだことにより、『質の安定』を確保できるようになった」と力説しました。
 安倍政権の課題と日米関係に関しては、環太平洋連携協定(TPP)について「日米同盟強化や戦略的観点からも、アジア・太平洋の『未来の繁栄』を約束する仕組みとして合意をつくり出す努力が必要だ」と指摘しました。
 また、アジア・太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増していることから、「日本外交の基軸である日米同盟の重要性が一層高まっている」との認識を表明。日本の安全保障政策の在り方をめぐる議論について、これまでの日本政府の方針を支持した上で、「これを変えようとすれば、なぜ変えるのか、どのように変えるのか、どのような影響を及ぼすのかなど、丁寧に議論を進め、国民の理解を得る必要がある」と指摘し、「近隣諸国にも地域の平和と安定に役立つものだと理解を促す努力が求められる」と述べました。
 一方、日中関係に関しては、公明党が中国との国交正常化を進めたときから長い交流の歴史があることに言及。今年1月に山口代表が訪中し、習近平総書記と会談したことについて「前政権で途絶えていた『政治家の対話』の扉を開く意義があった」とした上で「あの時期に公明党しかできない役割を安倍首相と共に果たせるところに、自公政権の『質の安定』がある」と語りました。
 その上で、「日中は一部に意見の違いがあっても、大きな共通の利益を増進することが重要であり、共に国際社会のルールを形成していく役割を果たしていかなければならない。日中の平和的発展こそが、両国の『核心的利益』といってもよい」として、「公明党は、日中政府間のいかなる仲介の労をいとわず、日中関係を改善していく用意がある」と強調しました。
 日韓関係については、公明党が在日韓国人の地位向上に理解を示すなど、長年友好的な交流を続けてきたとし、「韓国は基本的な価値と利益を共有する重要な隣国であり、大局的な観点から協力関係を強化していきたい」と述べました。