決算特別委員会での井手よしひろ県議の質疑 10月22日開催された茨城県議会決算特別委員会では、県企業局の「電話加入権」の取り扱いについて質問しました。
 「電話加入権」とは、NTT東日本・西日本の加入電話回線を契約・架設する権利のことです。電話回線を新規で申し込む際にNTT東日本・西日本に支払う費用を施設設置負担金と呼んでおり、この費用を支払うことによって電話加入権が発生します。1952年に日本電信電話公社(電電公社)が発足し、53年には電話設備費負担臨時措置法の改正により電信電話債券の引受が義務化されました。当時の債券額は6万円でした。1985年、NTT設立に伴い工事負担金に改称、権利金は72,000円に変更されました。2005年、施設設置負担金は37,800円に改定されました。05年までは、一定金額で「電話加入権」は売買されていましたが、現在は単独ではほとんど売買されていません。
 一方、茨城県企業局の貸借対照表には「電話加入権」が無形固定資産として、600万円以上計上されています。固定電話と設備の管理に使われるデータ回線の「電話加入権」を多数所有しているためです。
 利用中の「電話加入権」が、取得価格で無形固定資産に計上されていることは、地方公営企業会計基準に則った適正な処理です。そして、利用しない、あるいは売却することが決まっている場合は、減損処理を行うことになっています。
 現行の地方公営企業会計基準は減損会計を採用していません。平成26年予算・決算から新基準適用が決定しており、これには減損会計が含まれていますが、利用中の電話加入権単独では減損対象とはならないとの方針が決まっています。(参考情報:総務省「地方公営企業会計制度の見直しについて」)減損会計は電話加入権単独のようなものではなく、独立したキャッシュフローを生む資産グループとして適用判断となるため、電話加入権の市価下落だけでは減損処理とはならないのが理由のようです。
 しかし、この考え方はどうしても納得がいきません。県企業局は平均7万5000円余りで、「電話加入権」を計上しています。実際の市場価格は「2000円程度」が妥当のようです。
 とすると、実際の価格の40倍近くで資産計上されていることになります。決算の現状を実態に近づけるべきだと、委員会では力説しました。
 こうした意見を受けて、企業局は「今年度末で時価評価で『電話加入権』の扱いを見直しする」との答弁を行いました。具体的には「平均7万5000円余りで計上している簿価を、1回線2000円に減額評価する。そのための特別損失を計上する」ことになります。
参考:電話加入権−Wikipedia
参考:電話加入権|トーマツe会計情報