131118sato2 11月15日、茨城県の橋本昌知事は、県庁に東電の関浩一茨城支店長らを呼び、東京電力福島第1原発事故に伴う風評被害の損害賠償で、東電が県内の一部の事業者に対して、賠償金の打ち切りを一方的に打ち切りを通知した問題について、申入書を手渡しました。
 申入書の中で知事は、以下の二点を強調しました。
1.事故等の相当因果関係が認められる損害はすべて賠償の対象とするとともに、早急に損害金全額を支払うこと。
2.損害賠償にあたっては、単に事故発生時からの経過時間や農林水産物の価格の回復だけをもって、賠償継続の必要性を判断することなく事業者の立場に立って誠意をもってその声を聞き、実態を的確に把握した上で個別の事情に応じて丁寧に協議を進めること。
 この申し入れに対して、関支店長は「丁寧さに欠けるという事例があった。丁寧かつ真摯に対応していく」と応えました。
 橋本知事は「相当因果関係が認められるものは全て賠償すべきだ。まずは何よりもそれぞれの事業者の状況をしっかり聞いた上で判断してほしい」と要望。関支店長は「一部から『一方的だ』『被害者を切り捨てるのか』といった声が上がっていることには誠に申し訳がない」と陳謝しました。「調査した結果、残念ながら一部丁寧さに欠ける事例があったことを確認した。今後同様な事例が発生しないように丁寧かつ真摯に対応を肝に銘じてやっていく」との今後の方針を示しました。
東電側は賠償打ち切りの撤回はしないと強調
131118sato 会談の中で関支店長は打ち切りの通知文を8月以降送付したのは、11月1日現在で、22件とした上で、そのうち農家などが3割、農産物の流通業・加工業者が2割、残り5割が段ボールやクリーニング店などの間接的な被害を受けた業者であることを明らかにしました。
 さらに「現時点では大半の方は(打ち切りの)了解を得ている」と説明した一方で、数件は了解しておらず、原子力損害賠償紛争解決センターへの裁判外紛争解決手続き申し立てや、申し立て手続きの準備を進めていると説明しました。
 しかし、今後の対応については、あくまでも打ち切りの判断を撤回する考えはなく、「電話で事前に知らせ、新たに因果関係が判明した被害については再協議する」としました。また、今後、打ち切りに関する文書を送付する件数は増えるとも語りました。
(写真は東電への不信感を訴える県内事業者:TBSテレビの報道から)