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 12月6日、特定秘密保護法が成立しました。国の安全と、国民の生命・身体・財産を守るために必要な情報だけを「特定秘密」として指定し、それを政府内で保護・活用する特定秘密保護法。この特定秘密保護法がなぜ必要なのか、国民の不安は解消されたのか、公明党の石井啓一政務調査会長のインタビューです。

なぜ特定秘密保護法に賛成したのか。
 国には安全保障上、どうしても守らなければいけない秘密があります。ただ、それと同時に、国民の「知る権利」を確保しなければいけません。
石井啓一政調会長 このバランスが課題だったわけですが、公明党が政府の当初案を大幅に修正させて、そのバランスを確保できました。これらのことから、公明党は特定秘密保護法に賛成したのです。
 特定秘密というのは、それが仮に漏れてしまうと国の安全保障上、極めて重大な支障があるものですが、例えば、個人でもキャッシュカードの暗証番号、あるいはインターネットのパスワード、これは外に漏れたら困ると思います。
 国も同じように安全保障上、外に漏れたら困る情報がたくさんあります。例えば、自衛隊の装備の性能、あるいは自衛隊や外務省で使っている暗号、これが外に漏れると非常に重大な問題になります。
 日本だけでなく世界各国にも、安全保障上守らなければいけない情報があります。欧米各国あるいはアジアでいえば、お隣の韓国も国の安全保障上の重要な情報を守るために同様の法律をつくっています。
 残念ながら、日本ではそういった法律がなかったために海外各国から見ると「日本に情報を提供すると、それが漏れるかもしれない」という懸念があって、本当に機微な情報が入手できていたのかという課題があったのです。
 今回、わが国としても、この臨時国会で国家安全保障会議(日本版NSC)をつくりましたが、このNSCが十分に機能するためにも、海外からの安全保障上の重要な情報を入手する必要があります。その意味からも、特定秘密保護法を早期に成立させる必要がありました。

国民の思想・信条侵害批判は当たらず
 この法律が成立すると、戦前の治安維持法のように国民の思想・信条が侵害されるのではないかという批判もありましたが、条文のどこを取ってみても、そういったことには全くなりません。そもそも、戦後の日本は現行憲法上、思想・信条の自由がきちんと守られているわけですから、この法律でそういったことが損なわれることは全くありません。
特定秘密の範囲が拡大解釈されることはないのか。
 特定秘密は四つの項目に限定されています。一つ目は防衛、二つ目には外交、三つ目にはスパイ防止、四つ目にはテロ防止です。
 原発の事故情報が隠されるのではないかという指摘がありますが、原発の事故情報は今回の特定秘密の対象ではありません。
 原発に関していえば、原発の警備の仕方については、テロリストから原発を守るために特定秘密になる可能性はあると思いますが、原発そのもの、あるいは原発の事故情報については対象外なので、従来通り公開します。
 これと同様に、あくまでも今回は対象を国の安全保障上、どうしても外に漏らすと重大な影響があるというものに限定していますから、国民生活一般に、どんどん秘密の指定範囲が広がるということにはなりません。
 その上で、公明党の主張で、各大臣が恣意的な特定秘密の指定を行わないように、あらかじめ政府が有識者の意見を聞いた上で特定秘密の指定や解除に関する統一的な基準を策定するということが法律に盛り込まれています。
 さらに野党との修正協議の中で、最終的に個々の秘密の指定や解除が適正かどうかをチェックして監察する、独立性の高い第三者機関を設置することで合意しましたし、菅義偉官房長官も法律の施行までにそうした機関をつくることを国会で明言しています。
 そういった意味で、いろいろな観点から特定秘密の指定がどんどん広がらないように、きちっとした基準の下で指定を行い、それをさらに監視する、こういう仕組みをつくりました。

強行採決の批判もあるが。
 衆院では45時間近い審議が行われましたし、2回の参考人質疑と地方公聴会も行いました。同様に参院においても、衆院に対してどれくらい参院が審議をするか、という従来の慣例にのっとった審議時間を確保し、参考人質疑、公聴会も行いました。
 そうした意味で丁寧な審議をやりましたし、野党との修正協議も相当時間をかけて、衆院段階では11項目に及ぶ修正を行いました。さらに参院では、先ほど申し上げた、指定のチェックや監査をする第三者機関の設置も最終的に実務者間で合意をしました。
 そういう丁寧な与野党の協議を重ねてきたことから、採決を行う判断をしましたが、残念ながら野党の理解が得られずに与野党の合意がない採決となったということです。

公明党の主張で反映されたものは。
 公明党としては、特定秘密保護法の必要性そのものは当初から理解をしていました。ただし、これが国民の知る権利を損なわないように、どう法律の中に組み込んでいくのかということが大きな課題だったのです。
 そういった点においては、政府の当初案を大幅に修正させて、特に国民の知る権利を守るためには報道の自由、取材の自由がきちんと確保されなければいけないとして、通常の取材であれば、この法律に基づいて処罰をしないということを条文上きちんと明記させました。これが、国民の知る権利を守るための一番要のポイントです。
 それをしっかりと確保させたということで、私たちは賛成することになりました。この点については、野党との修正協議を重ねる中でさらに補強されて、最終的には個々の秘密の指定について第三者機関でしっかりとチェックをして監査します。
 そういうところまで与野党の実務者間で合意ができたので、さらに知る権利をきちんと守ることの補強ができたと思います。そういった意味で、国民の皆さまに十分信頼を頂ける法律になったと確信しています。




公明の主張と与野党の修正内容
【公明党の主張で盛り込まれた修正項目】
  1. 国民の「知る権利」を条文に明記し、特定秘密への取材行為を正当業務として不処罰にした。
  2. 特定秘密の指定・解除の統一基準作成などで首相に助言する有識者会議を設置。
  3. 特定秘密の指定期間の延長を原則30年以内に定め、それ以上は閣議決定が必要とした。
  4. 閣議の議事録作成を義務付ける公文書管理法改正案の提出を安倍首相に確約させた。

【与野党協議での修正項目】
  1. スパイなどの目的がなければ、特定秘密の取得行為は処罰されないとした。
  2. 統一基準の運用が問題なく行われているかをチェックする第三者機関を設置。
  3. 人的情報源など特別な7目を除いて、通算60年を超える延長はできないとした。

特定秘密保護法の仕組み
  • 国の安全と、国民の生命・身体・財産を守るために必要な情報を、行政機関の長(大臣など)が特定秘密として指定し、管理・保護をするための法律。特定秘密に指定できる対象は、安全保障に関する情報のうち、(1)防衛(2)外交(3)特定有害活動(スパイ)防止(4)テロ防止―の4分野に限定されている。
  • 指定の乱用を防ぐため、法律の別表に具体例が限定列挙された。例えば(1)の場合、暗号や兵器の性能など。特定秘密の範囲は、国家公務員法が漏えいを禁じる“職務上知り得た秘密”よりはるかに狭い。
  • 特定秘密の指定期間は5年。更新も可能だが原則30年まで。30年を超える更新は閣議決定が必要。30年を超えても一部例外を除き60年は超えられない。
  • 首相は有識者会議の意見を聞いて特定秘密の指定、更新など運用に関する統一基準を作成し、運用状況も有識者会議に報告する。さらに第三者機関によって運用が監視される。
  • 特定秘密の取扱者は大臣が行う適性評価に合格した行政機関の職員、都道府県警察の職員、防衛産業など契約業者の役職員に限定される。取扱者が漏えいした場合は懲役10年以下の刑。
  • 特定秘密の報道は、脅迫など法令違反や「著しく不当な方法」による取材以外は「正当な業務」として処罰されない。

特定秘密保護法のポイント
特定秘密とは
 国民の関心が高い環太平洋連携協定(TPP)の交渉経緯や、原発事故の避難に利用できる緊急時迅速放射能影響予測ネットワーク(SPEEDI)の情報までも特定秘密保護法で秘匿されるのではないか。行政に不都合な情報をマスコミの取材から守るために特定秘密が乱用されないか。
 こうした疑問に対し、政府は国会質疑の中で、それらが特定秘密に当たらないことを明言。また、乱用についても、特定秘密に指定できる具体的な情報は法律別表に限定列挙され、拡大解釈で際限なく秘密を増やせない仕組みになっていることを強調してきた。
 別表は特定秘密に指定できる内容を、防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野23項目に限定。防衛分野では、電波・画像情報、情報収集能力、暗号、武器の性能などが示され、外交分野では、外交交渉のうち国民の生命保護、領域保全に関わる重要なもの、安全保障に関する情報収集能力、外交で使う暗号など、極めて限定的である。

特定秘密保護法と国民の知る権利
 国民が政府を監視するために必要な「知る権利」を守るため、特定秘密保護法は、特定秘密に関する取材の自由を保障した。
 具体的には、特定秘密に関する取材を「正当な業務」と明記。「正当な業務」は処罰できないと定めた刑法第35条と合わせて読むことで、取材行為が処罰されないことが担保された。
 「正当な業務」に当たらない取材とは、脅迫など法令違反に当たる場合や、取材相手の人格を踏みにじるような「著しく不当な方法」に限られる。
 特定秘密保護法によって、国民の「知る権利」「表現の自由」が制限される可能性があり、戦前の治安維持法のような世界になるとの批判もあるが、これは根拠のない意見である。特定秘密保護法は、情報管理の在り方について政府を規制する法律であり、国民の権利を制限する治安維持法とは法律の目的が違う。
 また、国民が特定秘密を取得したとしても、それが、外国の利益を図ったり、日本の安全と国民の生命を害する目的でない限り処罰されないと定められている。

特定秘密法の運用を監視する第三者機関
 法律別表によって特定秘密に指定できる事項を限定し、また、指定期間5年の延長も原則30年までで、それ以上の延長は閣議決定事項とした。さらに、30年を超えた特定秘密も一部例外を除いて60年は超えられないとするなど、特定秘密の乱用を防止する制度は整っている。
 その上で、実際の運用段階で不正がないかを監視する第三者機関の創設も、自公両党と日本維新の会、みんなの党の4党で合意された。
 首相は有識者会議の意見を聞いて、特定秘密の指定や期間更新などの実務上の規範となる統一基準を策定するが、行政がそれに基づき適切に特定秘密を運用しているかどうかを、「独立した公正な立場において検証し、および監察する」のが第三者機関である。特定秘密保護法の施行(1年以内)までに内閣府に設置される。