イメージ 12月17日、厚生労働省は、いわゆる“ブラック企業”の調査結果を公表しました。
 事前の電話相談や情報などを基に「問題がある」と判断した全国5111の事業所を重点的に抜き出して実施した過重労働などの監督結果を明らかにしたものです。それによると、全体の82%にあたる4189事業所で長時間労働や残業代不払いなどの労働基準法違反があったほか、過労死のラインとされる月80時間以上の残業をさせていた事業所も1230(24.1%)に上りました。こうした重点監督は初めて。過酷な働き方で若者らを使い潰す“ブラック企業”の一端が明らかになりました。
 残業させるための協定を結んでいなかったり、協定を大幅に超える長時間労働をさせたりするなど違法な時間外労働が2241事業所(43.8%)もありました。不払い残業は1221事業所(23.9%)、過重労働に対して健康障害防止措置を実施していないところも71事業所(1.4%)ありました。
 また、ブラック企業の特徴と言われる3年以内の離職率が高い事業所122のうち、86.1%にあたる105事業所で何らかの法令違反がありました。
 特に悪質な事例では、違法行為が発覚し是正指導を行ったケースで、正社員に月84時間、パート労働者に月170時間の残業をさせていた事業所もありました。別の事業所では、正社員の7割が係長以上の「名ばかり管理職」になっており、管理監督者だとして残業代が支払われていませんでした。その半数は20代の青年でした。
参考:若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点監督の実施状況
公明の提案受け、来春から大卒求人票に離職率を公表
 厚生労働省は若者に過酷な労働を強いる「ブラック企業」対策として、来年春からハローワークを通じ、大学生(大学院生含む)を採用する企業に対し、離職率の公表を求めることを決めました。
 2015年春の卒業生に向けた求人から、過去3年間の離職者数と採用者数の記入欄を設けます。ブラック企業を見分けるには、卒業後、3年以内に会社を辞めた大学生などの割合の把握は重要な指標の一つになります。任意のため空欄でも求人は可能ですが、“離職者数を書けない企業”と、判断されることになります。
 これまで高卒向けの求人票には過去3年間の離職状況を記載する欄があったものの、大卒向けにはありませんでした。近年、ハローワークを利用する大学生が増えており、10年9月に設置された「新卒応援ハローワーク」を利用して就職した学生は、12年度で約9万4000人と、11年度と比べて約2万人増えています。離職者数の公表は、ブラック企業対策として、違法な労働を抑止する効果も期待されています。
 今回の離職者数記載については、公明党学生局の中野洋昌局長(衆院議員)が、11月6日の国会質問で、「最初に選んだ企業でどれだけ経験を積めるかが、その後の社会人人生にも影響する」と述べた上で、高卒用求人票にある「離職者数」の記載欄を大学新卒用にも載せるように提案しらものです。 
 これに対し、佐藤茂樹厚労副大臣(公明党)が、「若者が就職活動をする上で必要な就職関連情報の公開を促進することは、雇用のミスマッチを減らす上で重要だ」と、前向きな答弁を行っていました。
 公明党はこれまで、石川博崇青年委員長(参院議員)らが、現役大学生から直接意見を聞くなど実態調査を積み重ね、学生の就職支援の強化に取り組んできました。
 今回の求人票の離職者数記載についても、学生が直面している厳しい就職の現状を文部科学相に申し入れるなど公明党の地道な活動が実ったものです。