消防団員の報酬・手当  東日本大震災で254名が殉職した消防団は、広域的な災害時の地域の守りとして、その存在と役割が再認識されました。しかし、そのような期待とは逆に、団員数は減少し続けています。平成25年度のデータを見ると、茨城県内全体の定数26,303人に対し、実人員は23,955人で、2,348人の不足となっています。不足数は年々ふえており、平成元年の1,048人に対して,本年度は倍以上になっています。近年は、構成する団員の高齢化、サラリーマン団員も多くなるなど、消防団を取り巻く環境は、一段と厳しくなってきました。
 12月の臨時国会の土壇場で「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律案」が成立しました。この法律は、地域防災の要の存在である消防団員の処遇改善を規定したものであり、東日本大震災での消防団の活躍を受けて、公明党などがその必要を強く主張して成立したものです。
 この中では、消防団員の確保はもとより、日頃より激しい訓練や消防地域の普及啓発などに尽力している消防団員の苦労に報いるためにも、消防団員の報酬・手当が低い市町村においては、これを引き上げられるよう様々な機会を通じて処遇改善を直接国が働きかけていくことになっています。消防団の報酬は、年額報酬と出動手当の2つから成り立っており、市町村が条例で決めています。
 例えば、茨城県44市町村の平均は、年額報酬で25,548円(団員)、火災時の出動手当が2,346円です。市町村毎に格差があり、年額報酬の最高は古河市の50,000円、最低は稲敷市の8,000円です。出動手当の最高は守谷市の5,000円、最低は八千代町の800円です。出動手当を個人に支給せず、分団毎に支給する自治体が3団体(小美玉市、坂東市、神栖市)あります。その差が余りに大きいのに驚かされます。
 今回の法律改正によって、国は市町村への交付税を計算する単価を明確にしました。それによると年額報酬は36,500円(全国平均25,064円)、出動手当は7,000円(全国平均2,562円)です。
 各自治体によって長い消防団の歴史があり、簡単に引き上げが実現できるわけではありません。しかし、今回の法律制定を契機に、改めて消防団員の処遇の改善に取り組んでいきたいと思います。