地域包括ケアシステム
 政府(厚生労働省)は、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築を目指しています。
 今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、「地域包括ケアシステム」の構築が重要です。
 人口が横ばいで75歳以上人口が急増する大都市部、75歳以上人口の増加は緩やかだが人口は減少する町村部等、高齢化の進展状況には大きな地域差が生じています。「地域包括ケアシステム」は、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要になります。
 公明党は昨年12月、高齢者が住み慣れた地域で医療や介護などのサービスを切れ目なく一体的に受けられる「地域包括ケアシステム」の構築に向けて推進本部を設置しました。
 「地域包括ケアシステム」は、主に在宅の要介護高齢者が、医療、介護、介護予防、生活支援、住まいの各種サービスを一体的に利用できるようにする体制です。政府は、おおむね30分以内に必要なサービスが提供できる環境をめざしています。
 実現するためには、医療や介護をはじめ5つのサービスを受けられる体制を整えなければなりません。医師や福祉専門職の連携強化も求められます。こうした環境が整えば、病気で入院した高齢者が、退院後も地域のリハビリ施設を利用しながら、再び自宅で生活できます。
 厚生労働省の調査によると、高齢者の7割が「介護を受けながら自宅で暮らしたい」と望んでいます。地域包括ケアシステムが確立されれば、高齢者のニーズに応えることが可能になるのです。介護する家族も、遠隔地の施設まで行く必要がないので負担は軽くなります。
 政府の社会保障制度改革国民会議も必要性を提言している制度ですが、具体化するには、自治体の取り組みが大きな比重を占めます。
 例えば、市区町村と都道府県の間で住宅整備に関する計画の内容に食い違いがないよう、介護や住まいのニーズを的確に把握し、策定する必要があります。
 医療や介護の専門家に加えて、地域の幅広い支え合いが欠かせません。住民や民生委員、ボランティア、商店街の店主などの協力がないと運営は困難です。まちづくりの側面もあるため、地域住民との話し合いも重要です。
 茨城県では、平成6年度より独自の制度として「地域ケアシステム」を導入し、現在、県内で約9000人の方が利用しています。支援を必要とする全ての方々に対して、地域ケアコーディネーターが中心となり、保健・医療・福祉の関係者や地域住民・ボランティア等による在宅ケアチームを編成し、本人及び家族全体の生活支援を行うものです。茨城県版「地域ケアシステム」は、高齢者に限った施策ではありません。難病患者や障がい者など、支援の対象となる方に制限はありません。地域で生活課題を抱えた全ての方々が支援の対象となっています。
 茨城県議会公明党としては、こうした茨城の先進事例を、党本部の「地域包括ケアシステム」推進本部に紹介すると共に、地域初の新たな介護システム構築に全力を挙げる方針です。