公明党地域包括ケアシステム推進本部 1月14日、井手よしひろ県議は「公明党地域包括地域包括ケアシステム推進本部・第1回会合」に出席し、厚労省政策統括官や内閣官房審議官、厚労省老健局、医制局などから通常国会に提出予定の介護保険の見直し法案の考え方になどについて説明を受け、意見交換を行いました。
 団塊の世代が後期高齢期に達する2025年を目の前にして、地域の特色を活かした介護の新たな枠組みの構築が待ったなしの課題となっています。
 これは俗に「2025年問題」といわれています。団塊の世代といわれる1947〜49年生まれ、今65歳前後の世代が約10年後、大挙して75歳を迎えるということです。
 実際にどれくらい増えるのか。2012年における後期高齢者は1511万人。これが2025年には2179万人まで膨らみます。全人口に占める比率も18%を超え、5人に1人近くまで上昇します。
 介護が必要な、要介護(要支援1〜要介護5)の認定者は、現在574万人ですが、前期高齢者(65〜74歳)の認定率が4%なのに比べて、後期高齢者では29%にまでハネ上ります。75歳以上人口が増えることは、介護される側の人数が爆発的に拡大するということなのです。
 と同時に、介護をする側のマンパワーの低下も大きな問題となります。人口減少社会、核家族化となった日本。生産年齢人口は6割を切り、従来お年寄りを支えてきた家族もその姿が一変しています。お年寄りの家族(在宅)における介護力の低下は否めません。
140114kaigo さらに、その課題は地域によって千差万別な事象となって現れてきます。
 75歳以上の人口が2025年に、どの程度増えるか都道府県別に試算すると、埼玉県や千葉県では5割以上増えるとされています。反対に、鳥取県や山形県では1割程度しか増えません。市町村別にすると、1.5倍を超えるのが177市町村、反対に280市町村では75歳以上の人口が減少に転ずるとされています。
 高齢者の絶対数が増えれば、介護サービスの給付(費用)も当然増大します。介護保険の総費用は、制度の始まった2000年度の3.6兆円から、2013年度に9.4兆円へと増加。2025年には約21兆円まで達する見込みです。介護給付と保険料は一体不可分ですから、全国平均で2014年度4972円の高齢者の介護保険料は、2025年には8200円程度になると予測されています。
 こうした2025年問題への厚労省の回答が「地域包括ケアシステム」の構築ということです。昨年12月に公布された社会保障改革プログラム法の第4条、第5条で正式に条文に盛り込まれ、これから10年間の介護体制充実のキーワードとなります。
 厚労省が想定する地域包括ケアサービスの視点として、以下の4点を挙げています。
  • 団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現。
  • 今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムの構築が重要。
  • 人口が横ばいで75歳以上人口が急増する大都市部、75歳以上人口の増加は緩やかだが人口は減少する町村部等、高齢化の進展状況には大きな地域差。
  • 地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要。

 その上で、当日説明に当たった唐澤剛厚労省政策統括官は「形は地域(市町村)に任せる、5つのサービスが包括的に提供されることと中学校区ごとの地域をベースにしたサービス提供されることが重要」と、「地域包括ケアシステム」のイメージを語りました。
 会合に参加して、「地域包括ケアシステム」の構築は待ったなしの課題です。厚労省におまかせの制度設計では、うまく機能しません。わがまちのサービスをどのように設計し構築するか、地方議員の力量が試されると実感しました。
地域包括ケアシステム