地域包括ケアシステムについて厚労省と意見交換  1月14日、井手よしひろ県議は「公明党地域包括ケアシステム推進本部・第1回会合」に出席しました。地域包括ケアシステムの成否を占う主要施策の一つに『認知症対策』があります。井手県議は、厚労省老健局ならびに医制局の担当課長に、具体的な施策を質問しました。
 厚生労働省は、初期段階の認知症高齢者の早期診断・早期対応を行うための専門家チームを、2015年度から順次、全市町村に設置することにしています。
 認知症は早期治療で改善する可能性が高いとされています。ところが従来の対策は、施設や精神科病院への入院が一般的でした。
 そこで今回の支援チームは、高齢者の症状が悪化する前に集中的に支援することで、住み慣れた地域で暮らし、症状の安定化とともに、長期入院を防ぐのが狙いです。
 厚労省は2014年度予算案に全国100カ所で専門家チームを設けるモデル事業や、認知症地域支援推進員の拡充などに33億円を盛り込みました。本格実施に向け課題や効果を検証する考えです。
認知症初期集中支援チームのイメージ
 専門家チームは、保健師、看護師、社会福祉士、介護福祉士などのほか、認知症治療の専門医で構成。地方自治体の医療・介護の拠点である地域包括支援センターなどに配置し、認知症高齢者の自立した生活に向けたサポートを行います。
 高齢者に物忘れや行動の変化など、認知症と疑われる症状が見られる場合、チームが本人や家族からの相談に応じます。その後、自宅を訪問し、医療機関の受診や介護が必要かどうかを判断した上で、確実にサービスを受けられるよう、医療機関や介護事業者を紹介するなど、専門機関と調整を図ります。
 専門機関がサービスを開始した後も、チームの担当者が定期的に自宅を訪れ、症状の経過を確認。症状の見通しを説明したり、生活面での助言も行うことにしています。チームによる支援は最長で6カ月間。その後は近所のかかりつけ医やケアマネジャーに引き継ぐとしています。
 認知症高齢者は年々増加しており、厚労省によると25年には470万人に達する見通しです。厚労省では「少しでも生活の変化を感じた段階で、相談に来てもらえるよう広くPRする必要がある」と強調しています。
 公明党は2009年に全国で「介護総点検」を実施。10万件に上る声を基に「新・介護公明ビジョン」を発表し、認知症高齢者向けグループホームの3倍増や、24時間365日の訪問介護サービスの拡充などを提案し、認知症対策を着実に前進させてきました。

【認知症初期集中支援チーム(個別の訪問支援)】
複数の専門職が認知症が疑われる人、認知症の人とその家族を訪問し、アセスメントや家族支援などの 初期の支援を包括的・集中的に行い、自立生活のサポートを行う。地域包括支援センター等に配置する。

【認知症地域支援推進員(専任の連携支援・相談等)】
認知症の人ができる限り住み慣れた良い環境で暮らし続けることができるよう、地域の実情に応じて医療機関、介護サービス事業所や地域の支援機関をつなぐ連携支援や認知症の人やその家族を支援する相談業務等を行う。地域包括支援センター等に配置する。

【認知症】
いろいろな原因で脳の細胞が死んだり、働きが悪くなったために、さまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6カ月以上継続)を指す。認知症を引き起こす病気のうち、もっとも多いのは、脳の神経細胞がゆっくりと死んでいく「変性疾患」と呼ばれる病気。アルツハイマー病、前頭・側頭型認知症などがこの「変性疾患」に当たる。