金融機関、保証求めぬ融資促進
「私的整理」一定の財産など手元に、経営者の負担減へ公明が推進

susi-paku 日本商工会議所と全国銀行協会が、2013年12月に公表した経営者(個人)保証に関する「ガイドライン(指針)」の適用が、来月から始まります。中小企業の経営者に対して金融機関はできる限り個人保証を求めないこととし、融資を受ける際の負担を軽くして事業展開や再生を後押しします。
 個人保証とは、経営者の個人財産によって銀行から借りた資金の返済を保証すること。担保となる不動産などを持たない中小企業が銀行から融資を受けるための手段として定着していますが、経営者にとっては重い負担です。経営が悪化して融資の返済ができないと自宅などが差し押さえられるケースもあり、思い切った事業展開を阻む要因にもなっています。
 中小企業庁が昨年3月に実施した実態調査の結果によれば、借り入れのある中小企業の9割弱が個人保証を求められています。
 新ガイドラインでは、金融機関が融資する際に中小企業の資産や収益で借入金の返済が可能と判断したり、財務状況に関する信頼性の高い情報の開示・説明を受けるなど、一定の要件を満たせば個人保証を求めないことにしました。
 また、経営者が「私的整理」(金融機関などとの話し合いで企業を再建しようとすること)を決断した場合、私財の全てをなげうって債務を弁済するのではなく、原則として、経営者の手元に自由に使える財産(99万円)を残します。さらに金融機関は、年齢などに応じて100万〜360万円程度の「一定の生活費」と、事務所兼住宅など「華美でない自宅」を残すことを検討することとしました。
 経営者の責任に関しては、私的整理になっただけで一律に交代を求めず、「経済合理性が認められる場合」には引き続き経営に携われるようにします。
 中小企業の経営者を苦しめる個人保証の負担軽減について、公明党はかねてから重視してきました。昨年の参院選の重点政策では、中小企業の事業再生を強力に支援する観点から「個人保証の段階的廃止」を掲げ、関係機関に働き掛けてきました。
 こうした経緯を踏まえ、自公連立政権が昨年6月に発表した成長戦略の中で新ガイドラインの早期策定を明記。日本商工会議所、全国銀行協会を中心に、関係省庁を加えて発足した研究会が、新ガイドライン策定に向けた議論を進め、昨年12月5日に取りまとめました。
 公明党は、新ガイドラインの適用後も、金融機関が個人保証を求めない場合に心配される貸し渋りなどが起きないよう注視していきます。
参考:経営者保証に関するガイドライン