日本の農林水産物が海外で評判です。2013年末に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産となった「和食」は海外でもブームに火が付いています。栄養バランスが優れ、おいしく、見た目も美しいとして、日本食への関心は非常に高くなっています。日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査によれば、外国人が好きな外国料理の1位は「日本料理」という結果が出ています。
 これが後押しとなって、2013年の農林水産物・食品の輸出額(速報値)は、前年比22.4%増の5506億円と過去最高を記録しました。
 中でも伸びが目立ったのが、りんごです。大半が台湾向けで、旧正月の春節行事に合わせた輸出が大きく伸びました。台湾で日本産のりんごは、おいしいだけでなく「安全で安心」「知名度やブランドイメージがある」などと高い評価を得ています。
 また、台湾人の健康志向の高まりなどから、2012年産の長イモの輸出量は1999年産より4.5倍も伸びています。
 課題は、こうした流れをさらに強め、日本の農林水産業の活性化を進めていくことに他なりません。
 アジアでは、都市部に住む人の所得が上昇し、中間層の厚みが増してきた。農水省は、世界の食の市場規模が2020年には680兆円と2009年の2倍に拡大、このうち中国やインドを含むアジアの市場は229兆円と3倍に膨らむと試算しています。日本の農林水産物の“伸びしろ”は大きいといえます。
茨城県の新たな輸出の取り組み
 茨城県の産農産物の輸出についてみてみたいと思います。
 茨城では、過去には商社などと連携し、メロンや梨などの試験輸出が行われた実績はありますが、継続的な取引には繋がっていません。最近、茨城県では、米、カンショや梨などで積極的な輸出の取組が進められております。
 さらに井手よしひろ県議は、今年1月、農業者の方々が直接タイのバンコクに生産物を出荷・販売する店舗を試験的にオープンさせたことに注目しています。輸送会社のドア・ツー・ドアの国際ロジステックシステムを活用して、まずは米といちごを現地で試験販売しています。驚くことに、朝摘みのいちごが翌日にバンコクの店舗の店頭に並びます。販売価格は、日本での価格の3倍程度ですが、好調な販売実績を上げていると聞いています。
 この2月にはトマトとレンコンの輸出販売を試行する予定です。
 この事業者は、農産物の販売価格を農家自身が決める仕組み=産直市場方式をとっています。手間を掛けてつくった作物は、当然、スーパーの店頭などに並ぶ農産物より割高になるかもしれません。しかし、その商品の差を買い手が理解してくれれば、価格が高くても消費者は購入してくれるというのが、基本的な考え方です。この哲学をそのまま輸出の現場でも実践しようとしています。茨城の農家がタイのお客様とフェイス・ツー・フェイスの関係を構築できるシステム作りを目指しています。
 タイの店舗にいちごを出荷している農家には、貴重な情報がフィードバックされます。出荷の際のいちごの痛みの状況。それを防ぐための包装資材の工夫。風味や彩りなどのタイの人がどのようないちごを好むのかという情報。直接タイに行くことは出来なくても、インターネットのfacebookを活用して、タイの消費者と農家が直結しています。
 茨城県産農産物の輸出を考えるとき、こうしたビジネスモデルは非常に大事にすべきだと提案しています。3月県議会の公明党の代表質問でも取り上げる予定です。

外国の輸入規制撤廃に全力
 政府は2020年までに農林水産物・食品の輸出額を1兆円に倍増させる目標を設定し、日本食・食文化の魅力発信などを推進していく方針です。
 目標達成に欠かせないのは、海外の輸入規制の撤廃です。東京電力福島第1原発事故以降、主要な輸出先である中国などは、放射性物質による汚染を懸念して、日本の農林水産物への輸入規制を強化してきました。
 主な輸入停止措置2013年の輸出額が過去最高となった要因の一つは「外国の輸入規制の緩和が進んだこと」(農水省)とはいえ、依然、輸入規制を続けている国は少なくありません。
 これを踏まえ、公明党の稲津久衆院議員は、2月13日の衆院予算委員会で「外国の規制措置にどう対応していくのか」として政府の具体的な対応を迫りました。
 公明党は、昨年の参院選重点政策で農林水産物などの輸出額倍増を掲げた。外国の輸入規制などの課題を克服し、目標達成に全力を尽くす決意です。