広島県庁の前で井手よしひろ県議 井手よしひろ県議は、2月17日から2泊3日の日程で広島県を訪れ、広島県の観光プロモーション「おしい!広島県」について現地調査を行いました。
 広島県庁では、県ひろしまブランド推進課柴田勉課長、県観光課岡泰充課長より直接説明を受けました。
 広島県では、観光振興を広島県産業の「ものづくり」に加え、経済成長を支える新たな柱にしていく方針です。そのためには、観光地としての広島の認知度、ブランド力を高める努力をしています。
 そもそも広島県には、平和の象徴でもある原爆ドームや平和資料館(広島市)、安芸の宮島・厳島社神、瀬戸内の数々の景勝地が点在します。平成24年の広島県の観光客数は5893万人、その観光消費額は3356億円であり、茨城県の3258万人(2024億円)をはるかに上回っています。更にその満足度は、総合的な満足度で5位(85.7%)であるのに対して茨城県は下位に甘んじています。(資料は、じゃらん宿泊旅行調査2013)
 このような状況の中、広島県は2012年3月27日より、「おしい!広島県」観光キャンペーンをスタートさせました。
 この「おしい!広島県」キャンペーンの仕掛人は、映像作家の江口カン氏です。最近では、2020オリンピック招致のIOC総会でプレゼンテーション動画を制作した人物として有名です。福岡を拠点に「ナイキ・ジャパン」や「スニッカーズ」などCMや短編映画の演出を手がけてきました。

 江口氏は、「おしい!広島県」キャンペーンに当たり、メインキャラクターにお笑い芸人の有吉弘行氏を抜擢しました。広島県出身の有吉氏は、世界各地を徒歩で旅するテレビ番組で、二人組の猿岩石として一世を風靡しましたが、ブームが過ぎると長い低迷期を過ごしていました。歯に衣を着せぬ毒舌キャラとして、再ブレークをとげるタイミングで、広島県観光大使としてテレビCMに出演しました。残念ながら当時のCM動画をネット等で確認することは出来ませんが、「おしい!広島県」との意表をつくキャッチフレーズと有吉氏の毒舌チャラが効を奏して、「おしい!広島県 THE MOVIE」は、人気を呼び、動画の再生回数は89万8000回を数えました。観光庁が主催する「第2回観光映像大賞」も受賞しました。
 このキャンペーンは、広島県には、魅力的な観光資源がたくさんあるのに、全国では知られていない。「実に、おしい!」。全国の人の注目を集め、興味を持ってもらい、広島へ訪れてもらうことによって、「おしい!」状況を「おいしい!」に変えていこう、という主旨で展開されました。
 「おしい!広島風お好み焼き」「おしい!熊野化粧筆」など、特徴ある10種類の観光素材をポスターとしてとりあげ、主に関西圏、福岡圏で展開しました。さすがに、「おしい、厳島神社」のポスターは、世界文化遺産の大鳥居を、文字で上書きできずに小さいキャッチフレーズが踊っています。
 また、積極的なインターネットの活用も行い、Googleの年間検索ランキング2012の地域部門で、広島県の「おしい!広島県」は第1位に輝きました。
 井手県議が広島県の担当責任者に伺ったところ、実は有吉氏が実際のキャンペーンに出演できたのは、最初のCM一本だけでした。広島県は、有吉氏のイメージを徹底的に使い回したということになります。また、こうした人材の活用やキャンペーンのキャッチフレーズの決定は、最終的に仕掛け人江口さんに任されました。自由な発想で、統一的なキャンペーンが行えた背景はここにあったと言えます。
 2013年からは新たな展開として、俳優の川原さぶ氏を起用。河原氏の強面の風貌を活かして、「おしい!広島県に断固反対」と街宣車で演説する新たなキャンペーンを始めました。8月には、河原氏や戸田菜穂さん、田中卓志(アンガールズ)が出演する「おしい!広島県 THE MOVIE 2」を公開しました。

 さらに、2014年2月28日まで、広島の食をテーマにする「OC−1選手権」(おしいわ選手権)を開催して、冬場の観光誘客に努めています。
 広島県のブランド戦略の基本は、観光に特化し、その魅力を掘り起こす道具として食をPRしています。また、江口氏という外部の専門家を起用し、総合的な広報戦略を一元化しているところに特徴があります。今後は、観光面だけではなく、総合的なブランド力の向上にも力を入れていくために「ひろしまブランド推進課が設置されたところです。
 茨城県のブランド戦略の中で大いに参考になるのは、やはり司令塔の存在です。茨城の進める「なめんなよ〇茨城県」キャンペーンの今後を考えるとき、是非検討していくべき課題です。