ビットコイン「記念貨幣」 3月6日、公明党は金融問題調査委員会と財政・金融部会の合同会議を開き、インターネット上の仮想通貨「ビットコイン」について関係省庁からヒアリングを行いました。
 世界中で利用されているビットコインをめぐっては、東京に拠点を置く主要取引所「マウントゴックス」が取引停止の後に、経営破綻したことを受け、国内外の利用者に影響が出る事態となっています。金融庁によれば、利用者から預かっていたものとマウントゴックス社保有の合わせて約84万ビットコインが、不正アクセスにより消失したとされています。他の取引所では1ビットコイン当たり500ドル前後で取引されているとみられることから、400億円超が失われたことになります。マウントゴックス社のずさんな資金管理や運営が原因ともいわれているが、早急に全容を解明し、再発防止へ万全を期す必要があります。
 電子マネーには3つの方式があるといわれています。
 第1が日本でも広く流通しているエディやスイカなどのICカード型です。現金を専用の機械によってその価値をICチップに記録して、それを読み取る装置で引き出しながら使う方式です。金融機関に預けてある預金口座から現金を引き出して使用する「デビットカード」とは厳密には区別されています。
 第2が「支払い指示型」と呼ばれるものです。現金の価値を引き出すというより、「指定の口座から別の口座に振りかえを指示するタイプです。欧米のように小切手による支払いが定着している地域で普及しているようです。アメリカの大手携携帯電話サービス会社・サファリコムが始めた電子決済サービス「Mペサ」などがこの方式です。ショートメッセージの指示に従って現金を利用者に手渡す仕組みです。
 3番目が「ネットワーク型」と 呼ばれる電子マネーです。現金の価値が電子データとしてインターネット上を流通していく仕組みです。ビットコインもこの流れを組むものです。
 ビットコインは「サトン・ナカモト」という日系人が提唱した理論で、2140年までに2100万ビットコインが発行されます。上限を設定することになってその希少性を担保します。ビットコインを入手するためには、難解な暗号計算を解いて「採掘(認証作業)」を行うことで報酬を得るか、取引所において現金とを引き換えます。あるいは商品などの対価として受け取る方法もあります。
 コインと呼ばれていますが、発行主体や実物は存在しません。その実態はデータそのものです。実際の現金とはリンクしていないため、各国の通貨や為替の変動も受けません。クレジット決済のような取引手数料は掛かりません。このビットコインは、商品売買の決算手段だけではなく、投資の対象としても人気が過熱していました。ビットコイン専門に投資するファンドもあります。昨年9月25日時点で12.88ドルであったそのファンドの基準価格は12月5日時点で100.14ドルと8倍以上になっています。
 一方で、発行者も管理者もいないため極めて匿名性が高く、犯罪関連資金のマネーロンダリング(資金洗浄)や脱税などにも使われる恐れが指摘されています。

ビットコインは「通貨」には当たらない:政府が初見解
 こうした中で、政府は3月7日、国会議員の質問主意書に答える型で、ビットコインに関する公式見解を示しました。それによると、ビットコインは「通貨には該当しない」と認定し、貴金属などと同じ「商品(モノ)」と扱う方向性を示しました。銀行や証券会社が売買の仲介など、本業で扱うことを禁止し、取引に伴う売買益は課税対象になるとの見解も明確にしました。
 もう少し詳しくみていると、ビットコインは民法が定める「通貨」に該当しないと明記しています。通貨の取り扱いを前提とする銀行法の対象外としました。また、金融商品取引法に基づく「有価証券」にもあたらないとしています。当然、この結果、投資家保護の対象に当たらないことになります。
 この見解に基づき、政府は金融機関での取り扱いルールも示しました。民間銀行にはビットコインの売買の仲介や現金(通貨)との交換、専用口座の開設、送金業務などを認めません。証券会社も仲介業務などの本業は禁じられます。課税については、所得税や法人税、消費税の対象となるとしました。
 ネット社会進展のスピードに対して、行政への対応や法整備は追いついていない実態があります。
 犯罪抑止と消費保護の観点から、政府はルール整備に向けた検討を急くべきです。

参議院議員・平木だいさくのfacebookより
 ビットコインという、インターネット上で流通する仮想通貨が話題となっています。東京にある取引所から114億円相当のコインが忽然と消えたとの報道があり、党の金融問題調査委員会で対応を協議しました。

 日本人の被害者はほとんどいないということで一安心しましたが、会議を終えて、あらためて頭を抱えてしまいました。財務省、国税庁、金融庁、消費者庁、警察庁から日本銀行まで、各省庁からずらりと出席者が並んだのですが、驚いたことに、誰一人として、そもそもビットコインとは何なのかを正確に説明できません。
 「更なる被害者がでないよう取引実態を把握すべき」「マネーロンダリングに使われないように監視しよう」、確かにその通りなのですが、そもそもプログラム上で自動発行される通貨であるため、発行者や管理者というものすら存在しません。官庁としても、一体どこの誰を取り締まってよいものやら・・・というのが本音のようです。

 来週はサイバー攻撃への対処を検討する会議も予定されています。テクノロジーの急速な進歩が、世の中を大きく変えつつある今日、国民の生活を守るはずの私たちが、現実の変化に遅れをとるわけにはいきません。こうした分野こそ、若手の出番!日々怠らずに勉強していきたいと思います。