県包括外部監査:農林水産4団体への貸し付け、不適切な会計処理指摘
県議会農林水産委員会 3月12日、井手よしひろ県議は県議会農林水産委員会で、県包括外部監査によって指摘されたオーバーナイトローンについて質問しました。
 平成25年度県包括外部監査人の小林保弘公認会計士は25日、2013年度の監査結果報告書を県に提出しました。それによると、JAなど4団体への単年度貸付金77億3000万円が年度末に回収され、翌年度に再び貸し付けられているとして、「違法とは言えないが、県の財務実態をゆがめる」と指摘し、このような会計処理をやめるよう求めました。
 指摘されている会計は、県農協中央会への70億円(農協経営刷新貸付)、県食肉事業協同組合連合会への9千万円(食肉市場取引推進資金)、県中央食肉公社への4億6千万円(食肉流通合理化促進資金)、県森林組合連合会への1億8千万円(林業生産振興資金貸付金)の4会計です。
 このうち井手県議が指摘したのは、県農協中央会への貸し付け。1994年度にトキワ園芸農協の破綻処理に国、県、農協グループの3者で支援したときのものです。県の財政状況が厳しく、県負担額の8億1900万円の立て替えを県農協中央会に依頼しました。その立て替え分の返却を、県は無利子で中央会に70億円を貸し付け、その運用益で行う手法を採り入れました。
 平成26年度予算案にも、4月当初に70億円を県農協中央会に貸出、来年3月末に70億円の返済を受けることが計上されています。
 こうした手法に対し、小林公認会計士は「年度末に貸付金が回収され、決算上はまったく貸し付けしていないようになっている」と指摘。「一般企業なら許されず、県の財政収支が悪くなるのを見えないように調整していると取られても仕方がない」と問題視しています。
 井手県議の聴き取り調査によると、県農協中央会に対する返済の残金は約1億5千万円で、2015年度中に完済する見込みです。監査報告では「現在は残額が減ってきており、農協への立て替え未払い額を一括返済した場合と、県の資金調達コストを比較検討し、合理性の高い方法を選ぶべきだ」と指摘されていますので、6月議会までには結論を議会に判りやすく報告すべきと、主張しました。

オーバーナイトローンとは。
オーバーナイトローンとは、直訳すると一夜債貸付けということになります。決算日が違う2つの団体間で資金を融通し合うことで、財務状況をよく見せようとする手法です。複式簿記の企業会計では、あまり意味を持ちませんが、単式簿記を採用している地方公共団体の経理では、昔から存在していました。