高額のキャッシュバック 最近、テレビや新聞でiPhoneの過剰値引きの現状が報道されています。その内容は、iPhone5sで記録容量が16GBモデルの場合、一括販売価格を従来の7万円前後から一気に0円に下げられています。0円販売の代わりに、スマホをローン購入する人に、現金や商品券を手渡すキャッシュバック(返金)も目立つといいます。例えば番号持ち運び制(MNP)で家族3人が携帯会社を一斉に乗り換える場合、1月は総額15万円程度のキャッシュバックが多かったが、2月には21万円や24万円という高額の返金を行う販売店があるということです。
 携帯大手3社の昨年4〜12月の販売台数はドコモが9%減の1607万台、KDDI(au)は5%減の779万台でした。一方、ソフトバンクは5%増の988万台と唯一純増を維持。しかし、全体では3374万台と前年同期を4%も下回りました。スマホの高機能化は、演算(処理)スピードの向上や新機能の追加などで差別化がしづらくなっています。ドコモがiPhoneの販売を始めたことから、またっく同じ機種を大手三社が販売台数を競うという事態になりました。  高額のキャッシュバック合戦は、スマホを購入して返金を受け、短期間に解約して違約金を支払う。違約金の額よりキャッシュバックの方が多いから儲けが出てしまう。さらに、手元に残った使われていないスマホは買い取り業者に売って、さらに現金を手にする。こんな異常なサイクルが出来上がっていると、マスコミは伝えています。
 しかし、立ち止まって考えて欲しい。こうしたキャッシュバックの原資は、まじめに高い携帯通話料を払い続けている善良なユーザーが負担していることを。
 日本のスマホの利用料金は諸外国と比較して割高です。総務省の調査によれば、月額の通信料(2012年末時点)を世界の主要7都市で比較した場合、ドイツ(9085円)、米国(8698円)に次いで日本(7564円)と三番目の高さでした。
 総務省の中は、行き過ぎた“返金競争”の是正を求める意見も出されています。何らかの抑制策を至急、取ることが必要です。活発な議論を期待したいとおもいます。
MVNOの参入促進も必要
イオンの格安スマホ さらに、利用者にとって、大手通信会社3社以外の選択肢が限られていることも、通信料が高くなる理由の一つです。
 大手通信会社の回線を借りてスマホ向けの通信サービスを提供する「仮想移動体通信事業者」(MVNO)は、割安な料金を設定できる。MVNOの参入を促し、利用者が多様な料金メニューを選択できる環境を整えていく必要があります。先日は、イオンが販売する格安スマホの話題が大きく取り上げられていました。日本のMVNOは日本通信やNECビッグローブなど数百社ありますが、その契約数は合計600万件ほどです。1億4000万件ある携帯の総契約に比べるとまだわずかです。英国やフランスなどは携帯市場に占めるMVNOのシェアが1割を超えているとされ、割安会社に引っ張られて大手が値下せざるを得ない結果となっています。
 総務省の家計調査によれば、世帯消費支出が全体的に減少する中で、携帯電話などの通信料は過去7年間で1万円以上増加し、家計の負担は重くなっています。スマホや携帯の通話料の引き下げを政府が積極的に仕掛けるべきです。