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 安倍晋三首相の集団的自衛権の行使容認に関する前のめりの姿勢について、内外2つの正論をご紹介します。一つは政治評論家・森田実さんの「解釈改憲は安倍内閣による史上最大の国民騙しの詐欺行為です/解釈改憲反対の一大統一戦線をつくり、安倍首相らの解釈改憲という詐欺行為を打破すべし」(5月9日付け)。もう一つはニューヨークタイムズ(5月8日付け)の社説記事です。
 集団的自衛権の行使容認という重大事を、憲法解釈の変更で行うことの問題点を指摘し、それを止められるのは、バラバラバラな野党ではなく公明党だけだと述べています。公明党の地方議員として、責任の重さを痛感します。

森田実の言わねばならぬ(2014/5/9)
解釈改憲は安倍内閣による史上最大の国民騙しの詐欺行為です
解釈改憲反対の一大統一戦線をつくり、安倍首相らの解釈改憲という詐欺行為を打破すべし

「偽善の一番いけないのは善に対する人間の信用をおとすことだ」(武者小路実篤)
森田実さん(右)と井手よしひろ県議 安倍首相と解釈改憲派がやろうとしていることは、日本国民を騙すことです。安倍政権は詐欺集団に成り下がろうとしています。
 日本国憲法第9条は「戦争の放棄」を規定しています。この「戦争放棄」を規定した憲法第9条を改正しなければ「戦争をする国」にすることはできません。私は、日本を「戦争をする国」に変えることには反対ですが、憲法第96条という改正規定がある以上、この改正規定に従って合法的に行われる憲法改正手続きそのものは法的に有効です。憲法改正は、第96条の改正手続きに従って衆参両院における改正発議を行い国民投票を行う手続きをとる場合、第9条擁護派は国民投票で多数をとるために努力する以外に自らの主張を貫く道はありません。憲法をどうするかの最終決定権は国民にあるのです。
 安倍首相が憲法第96条を守り、96条の規定に従って改正手続きを進めるのであれば、これ自体は合法的なもので問題はありません。護憲派には国民投票で憲法改正を否決するしか手段はないのです。
 しかし、96条によらず、解釈改憲という非合法手段をとろうとしているところに、今日の日本政治の最大の問題があるのです。
 解釈改憲は偽善的、欺瞞的行為です。これを安倍内閣と自民党はやろうとしているのです。政治権力による歴史上例のないほどの大がかりな詐欺行為です。これに日本維新の会、みんなの党も加わります。政治権力によるこれほど大掛かりな詐欺行為は歴史上でもめずらしことです。この歴史上最大の国民騙しの詐欺行為を許したら、日本は道義なき国になり、全世界の信用を失い、沈没してしまいます。これだけは阻止すべきです。日本を詐欺国家にしてはいけません。これだけは絶対に許してはいけないことです。
Japan’s Pacifist Constitution
By THE EDITORIAL BOARD(2014/5/8)

Prime Minister Shinzo Abe of Japan is pushing for an expanded role for the Japanese military that would allow it to fight alongside allies beyond the country’s territory. He seeks to shoulder greater global security responsibilities by what he calls proactive pacifism.

But he faces a major hurdle. Article 9 of the Constitution, which has been nominated for the Nobel Peace Prize this year, states the Japanese people “forever renounce war as a sovereign right of the nation.” Mr. Abe’s aim to change the powers of the military would require a constitutional revision, which would mean winning two-thirds approval in both houses of Parliament, followed by a referendum ? a very tall order. So instead, Mr. Abe seeks to void Article 9 by having the government reinterpret the Constitution. Such an act would completely undermine the democratic process.

Mr. Abe’s highest political goal is to replace the Constitution written and imposed upon the Japanese by the American Army following World War II. For 67 years, not a single word has been amended. Mr. Abe strongly feels that the Constitution imposes an onerous restriction on Japanese sovereignty and is outdated. Still, as critics point out, he should know that the Constitution’s primary function is to check government power. It is not something that can be altered by the whim of government. Otherwise, there is no reason to bother with having a constitution at all.

As things stand, only the New Komeito Party, the junior coalition member of the government with a deep pacifist bent, could inhibit Mr. Abe’s ambition. Without New Komeito, the prime minister’s government loses its majority in the upper house, so Mr. Abe is doing his utmost to come up with a way toward a constitutional reinterpretation acceptable to New Komeito. The other eight opposition parties are in disarray. Mr. Abe has a strong hand, and Japan is facing a genuine test of its democracy.

日本の平和主義的憲法
ニューヨークタイムズ社説(2014/5/8)
 日本の安倍晋三首相は、日本の軍隊が国境を超えて同盟国とともに戦うことを許すような役割の拡大を推し進めている。安倍首相が「積極的平和主義」と呼ぶものによって、より大きな世界的な安全保障の責任を担おうとしている。
 しかし、安倍首相には大きなハードルがある。今年ノーベル平和賞にノミネートされている憲法9条は、「日本国民は国権の発動たる戦争は、永久にこれを放棄する(正しくは:日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する)」と定めている。安倍首相が目的としている軍隊の権限の変更は、衆参両院の3分の2の承認の上に国民投票を要するという、大変敷居が高いものです。だから替わりに、安倍首相は、政府の憲法解釈を変えることによって、9条を無効にしようとしている。このような行為は完全に民主的過程をないがしろにするものだ。
 安倍首相の政治の最終目的は、第二次世界大戦後、アメリカ軍によって起草され日本に課された憲法を変更することである。(日本国憲法は)67年間、一文一句、修正されていない。安倍首相は、憲法は厄介な制約を日本の主権に課すものであって、時代遅れであると感じている。しかし、批判する人たちが指摘するように、安倍首相は、憲法の主要な機能は政府の権力を抑制するものであるということを知るべきである。政府の思い付きで変えられるようなものではない。さもなければ、そもそも憲法などを持つ理由さえなくなってしまうのである。
 現状では、政権の少数派連立メンバーながら深い平和主義を持つの公明党だけが、安倍首相の野心を抑えることができるのである。公明党ぬきでは、与党は参議院で過半数を失う。安倍首相は公明党に容認可能な憲法再解釈への道を考え出すことに最大の努力を払っている。他の野党8党は足並みが揃っていない。安倍首相は豪腕を持っており、日本の民主主義は真の試練に直面しているといえる。
(日本語訳は、ホームページの管理者である井手よしひろが行ったものです)