環境省ポスター 5月13日、公明党の環境部会(部会長:斉藤鉄夫衆院議員)と動物愛護管理推進委員会(委員長:遠山清彦衆議院議員)は、環境庁に対して「犬猫殺処分ゼロ実現へ向けての提言」を手渡しました。
 全国の犬猫の殺処分数は減少傾向にあるものの、2012年度は16万匹を超えており、自治体などに引き取られた数の約8割に上っています。
 申し入れの席上、遠山委員長は、「殺処分ゼロをめざす環境省と公明党は、問題意識を共有している」と指摘。
 その上で、犬猫を殺処分から救済・保護している民間シェルターの整備と拡充を促進するため、ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)と呼ばれる官民連携の社会投資の仕組みを地方自治体と共に創設するよう提案しました。
 加えて、既に欧米諸国で設置され、動物の虐待や飼育放棄を犯罪として取り締まる権限を持ち、動物の保護も行う「アニマルポリス」の導入について、調査・研究を進めるよう要請しました。
 さらに、動物の年齢や所有者などを明確にするため、情報の入ったマイクロチップの装着義務化へ向けた取り組みの強化も求めたほか、繁殖者を認定する制度の設立や、実効性のある繁殖者教育・研修制度の確立なども訴えました。
 これに対し、環境省の浮島政務官は、「業者への教育の徹底は特に重要。頂いた提言をもとに全力で取り組む」と強調しました。また、牧原政務官は、環境省が6月に発表を予定している殺処分ゼロに向けたプロジェクトの中に、「今回の公明党による貴重な提言の内容を盛り込みたい」と語りました。
 一方、井手よしひろ県議は地方議員の立場から、一般市町村への動物愛護の担当者の配置を提案しました。
 動物の殺処分の問題の根本は、市町村に動物愛護の担当部署がないことだと認識しています。政令市や中核市などは、動物愛護のを所管事務としていますが、一般の市町村はその権限も責務を持っていません。都道府県が所管してます。これでは、きめ細やかな対応が出来ません。担当者がいないのですから、地域で動物愛護の施策が進むはずがありません。動物愛護法などの見直しによって、この点を改善することが重要です。

犬猫殺処分ゼ口実現ヘ向けての公明党の提言
  • 犬猫を殺処分から救済・保護している民間シェルターの整備・拡充を促進するため、ソーシャルインパクトボンド (SIB)方式を活用した社会投資スキームを地方自治体と連携し創設すること。また、特定の地域を指定し、このスキームを利用した「殺処分ゼロ」モデル事業の実施を検討すること。
  • ペット里親とのマッチングなど広域的な譲渡の推進を図るとともに、譲渡先の負担軽減に資する援助スキーム(例:在庫フードの提供など)の構築を検討すること。
  • 所有者や動物の年齢等の明確化を促進するため、マイクロチップの装着義務化へ向けた取り組みを強化すること。また、マイクロチップ本体及び装着技術料の低廉化を図るとともに、マイクロチップ国産化へ向けた条件整備や、その読み取り機能についてスマートフォン活用など簡易な方式の開発を検討・推進すること。
  • 繁殖者認定制度を設立するとともに、適切な繁殖制限について検討の上、認定繁殖者に徹底すること。また実効性のある繁殖者教育・研修制度を確立すること。
  • 生体のイベント会場等における移動販売を原則禁止すること。
  • 欧米諸国で設置されているアニマルポリス(官民連携型)の日本への導入の在り方について調査・研究すること。
  • 猫の殺処分数を減少させるため、飼い主のいない猫に対する不妊・去勢手術助成金制度を地方自治体が創設するよう推進するとともに、より実効性の高い総合的な施策を行う地方自治体と連携し「猫の殺処分ゼロ」モデル事業を実施すること。あわせて、飼い主への規制等に関する実効性の高い新たな施策を調査・検討すること。
  • 地方自治体の地域防災計画等におけるペットの救護対策にかかる事項の追加を強力に推進するとともに、第一種動物取扱事業者、特定動物の飼養・保管者に対しても、災害時に備えた計画を策定させるよう取り組むこと。