AED設置施設ステッカー 2013年3月22日、全国で初めての「AED等の普及促進に関する条例」が、議員提案で提出され全会一致で成立し、4月1日より施行されました。
 病院以外で心臓発作が原因で心停止になる件数は、全国で年間2〜3万件と推定されてします。心臓や呼吸が停止した場合、その救命処置はまきに1分1秒を争うものです。突然の心肺停止を起こした方の救命率は、救命処置が1分遅れるごとに約10%の割合で低下していきます。
 しかし、救急車が救命現場に到着するまでの平均時間は増加傾向にあり、平成23年においては約8分となっています。救急車の到着を待つ間に救命処置をしなければ、命を助けられる可能性が大きく低下することになります。
 心臓発作などによる心肺停止に対する救命処置としては、心肺蘇生法に併せてAEDの活用が有効です。
 一般人が心停止の患者を発見してAEDを使用して除細動を行った場合の1カ月後の生存率は45.1%であるのに対して、行わずに救急車の到着を待った場合は10.3%に止まるという統計があります。
 しかし、同じ統計ではAEDが利用された症例は全体の3.2%に止まっています。
 このような状況を踏まえ、県民の救命率の向上のため、県民に対しAED及び心肺蘇生法の普及促進を図るとともに、県民の自発的な応急手当の実施を促すことにより、県民のいのちを守ることが今回のAED普及促進条例の目的です。
 茨城県のAED普及促進条例には以下のような内容を盛り込みました。
  • 県民が広く利用する県の施設などにおいて、利用者が心肺停止を起こした場合に、すぐにAEDを使える環境を整備するため、AEDを設置すること。
  • AEDを設置した場合には、その設置場所及び使用方法の表示を行うこと。
  • 学校教職員に対して、AED及び心肺蘇生法に関する知識及び技能の習得を規定し、特に、公立学校の新任教諭に対しては、救命講習の実施義務を盛り込むこと。
  • 児童生徒に対しては、AED及び心肺蘇生法の知識及び技能を習得する機会を確保することを規定し、特に、公立中学校、高等学校などの生徒に対しては、心肺蘇生法に関する実習を実施すること。

 公明党はAED普及に当初より積極的に取り組んできました。平成23年度の統計で、茨城県内には6389台のAEDが設置されており、都道府県別では47都道府県中12位。人口10万人当たり214.7台で34位となっています。設置台数は増加していますが、残念ながら他県の伸び率より低くなっています。こうした現状を打破するために、井手よしひろ県議はAED普及促進条例の共同提案者となりました。
 5月28日、条例制定後1年が経過し、井手県議はこの1年間の県の取り組みを調査、確認しました。
 AEDの設置を進めると共に、その使用法を教育、啓発していくことは非常に重要なことです。
  • 多くの県民が利用する県の施設について設置を義務付け:269施設にAEDを設置(条例施行段階で未設置だった33施設については、平成25年度中に全て設置完了)
  • AEDを設置済みの県立施設については、設置施設である旨を示すステッカーを配布
  • 施設数、利用者、夜間営業が多いガソリンスタンドへの設置を促進するため、県石油業協同組合に対して設置を依頼
  • 各消防本部及び日赤に対して、県民に対するさらなる救命講習の実施協力を依頼
  • 教職員に対して、AED及び心肺蘇生法に関する知識及び技能の習得。新任教諭は、初任者研修においてAED及び心肺蘇生法に関する救命講習を義務化
  • 児童生徒に対しては、AED及び心肺蘇生法に関する知識及び技能を習得させる機会を確保
  • 公立中学校、高等学校は、学校学習指導要領を基本に心肺蘇生法の実習を義務化
  • 全ての小中学校へのAED設置率(平成26年2月10日現在):小学校(542校)100%、中学校(229校)100%、県立高等学校(97校)100%、県立中等教育学校(2校)100%、特別支援学校(22校)100%
  • 児童生徒に対する心肺蘇生法の実習実施:小学校(542校)144校実施26.6%、中学校(229校)225校98.3%、県立高等学校(97校)91校93.8%、県立中等教育学校(2校)1校50%
  • 教員を対象とした心肺蘇生法に関する救命講習実施:小学校(542校)346校実施63.8%、中学校(229校)142校62.0%、県立高等学校(97校)55校56.1%、県立中等教育学校(2校)0校0%、特別支援学校(22校)22校100%

人口10万人あたりのAEDの設置台数