140604mito 水戸市は平成26年4月1日から、増え続ける消費者被害を防止し、消費生活の安定と向上を目的とする「水戸市消費生活条例」を施行しました。消費生活条例は、市や事業者、事業者団体のみならず、消費者や消費者団体の責務も明らかにし、一人一人が消費行動に責任を持つ自立した市民による「消費者市民社会」の実現を明記。こうした条例は全国的にも珍しく、注目を集めています。水戸市議会公明党(伊藤充朗幹事長)はこのほど、市消費生活センターを訪れ、担当者と意見交換しました。
 この条例は、消費者の安全・安心な生活のために、被害防止や地球環境への配慮など、消費生活に関する問題に関心を持たせることが目的です。市消費生活センターの田山知賀子センター長は、「『消費者市民社会』とは、自分の消費行動を通して、持続可能な社会の形成に貢献するという新しい言葉である。この文言を盛り込んだ条例は念願だった」と力を込めました。
 昨年度、水戸市消費生活センターに寄せられた約2500件の相談に基づく被害額は、約11億円。相談者の3割は65歳以上の高齢者です。ネット社会の進展に伴い、ゲームの利用料や架空請求など、被害は小学生にまで及んでいます。消費生活条例は、このような多様化・複雑化する被害から消費者を保護するだけではなく、条例に明記した「消費者市民」に育成していくことに主眼を置いています。このため、国が定める「消費者教育の推進に関する法律」で市町村の“努力義務”とされている「消費者教育の推進計画」の策定を“義務”としました。
 水戸市消費生活センターはこれまで、市民に対する消費者講座や、中学生のための副教材などを作製し、知識普及を進めてきました。田山センター長は「まだまだ消費者教育は根付いていない」と指摘。その上で、「この計画を義務付けたことは、大きな変化。特に、学校の授業の一環として取り入れてほしい」と強調しました。
 これを受け、市民生活課の柏直樹課長は同計画について、「市教育委員会と協議の上、今年度中には策定していきたい」と述べました。また、消費者教育を行う人材育成や副教材の一層の充実、幼児から高齢者まで幅広い年代の学ぶ機会も増やしていく考えを示しました。
 一方、消費者を保護するために消費生活条例では、7月までに学識経験者などで構成する諮問機関「消費生活審議会」を立ち上げることを規定。被害拡大の恐れがある悪質商法や欠陥商品の販売など、不当取引行為が認められた場合、同審議会の意見を踏まえ、市が独自でその事業者に対し、指導・勧告・公表ができるようになります。
 条例制定については、市議会公明党が推進役となって、超党派の議員で全国にある先進事例を学んだり、消費者庁の職員を講師に招いて勉強会を行うなど、一貫してリードしてきました。伊藤幹事長は「単なる形だけの条例に終わらないよう、これからも消費生活の安定と向上を図っていきたい」と決意を述べています。

[参考]「水戸市消費生活条例」を制定しました(水戸市のHPより)