マイクロチップの装着数 6月3日環境省は、年間16万頭を超える犬・猫の殺処分数をゼロにするための取り組みをまとめたアクションプランを発表しました。
 環境省では昨年11月に「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」を立ち上げ、犬・猫の殺処分を減らし、最終的にゼロにすることを目指すための具体的な対策について、現在活動を行っている個人や関連団体などと協議を重ね、検討を行ってきました。
 その結果をまとめたアクションプランでは、国や自治体などの行政だけでなく、一般の飼い主やペットショップなどの事業者、ボランティアやNPOと幅広く連携し、年間約21万頭にのぼる動物愛護センターや保健所に引き取られる犬・猫の頭数を減らすことで、最終的に殺処分数ゼロを実現することを目指します。
 「飼い主・国民の意識向上」「引き取り数の削減」「返還と適正譲渡の推進」を三本柱に掲げた取り組みでは、ペットオーナーや子供たちへの適正飼育に関する教育の強化から、自治体を超えた広域譲渡の推進まで、幅広く活動が展開します。なかでも、現在殺処分されている動物の大部分を占める猫に関しては、室内飼育、避妊・去勢手術の徹底や地域猫対策の推進など、特に重点的に取り組んでいく方針です。
 環境省は自治体により抱えている問題点が異なることに着目し、今後は全国からモデル地域を複数選定し、各地域ごとに設定した課題に取り組むモデル事業を展開するとしています。
 また、その活動と併行して、先の動物愛護管理法改正に際しての議論でも議題として取り上げられていたマイクロチップ装着の義務化や、ドイツのティアハイムなどを参考にした大規模シェルターの設置など、さまざまな懸案事項を検討します。
マイクロチップを用いた動物の個体識別
マイクロチップ マイクロチップは、いわゆる電子番号札(電子タグ)で、動物の体内へ直接埋め込みます。このマイクロチップは、長さ12ミリ、直径2ミリ程度の円筒形をしています。内部はアンテナ(フェライト棒にコイルを巻き付けたフェライトロッドアンテナ)とIC部になっています。
 この電子タグを用いたシステムは、無線による個体識別(RFID)とも呼ばれ、注射をする要領で動物の体内に埋込まれている電子タグの中に記録されている情報を、専用の情報読取機(アンテナとコントローラからなる『リーダー』)からの電磁誘導によって、電子タグに直接触れることなく動物の体外から情報を読み取り、個体識別を行うものです。
 電子タグの利用は、「交通機関でのパスモやスイカ」等のICカード、「スキー場リフトの自動改札」、「自動車の生産ライン」、「高速道路のETCシステム」など、現在では広く利用されています。
 また、動物用のマイクロチップは、動物の体内に埋込んでも副作用などがおきないよう、外部を生体適合ガラスもしくはポリマーで密閉しています。
 現在、環境省はマイクロチップ装着の義務化を検討していますが、まずは販売業者に販売時の装着を義務付け、狂犬病にワクチン接種時に飼い主に装着の有無を確認するなど、その徹底をはかるべきだと考えます。