学童保育数、入所児童数 厚労省の調べによると、全国の児童クラブは2013年時点で、2万1635カ所。前年から789カ所増えて過去最高でした。申し込んでも利用できない児童数は6944人に上っています。登録児童数も過去最高の88万8753人で、前年より4万1786人増えました【グラフ参照】。
 子どもが小学校に入学すると、放課後の預け先が見つからず、母親が仕事を辞めざるを得なくなる―。共働きや一人親家庭が悩む「小1の壁」と呼ばれる問題です。
 この打開策として、厚生労働省と文部科学省は先週、放課後に校内などで子どもを預かる放課後児童クラブの拡充などを盛り込んだ「放課後子ども総合プラン」をまとめ、全国の自治体に通知しました。
 「小1の壁」が生じる原因は、放課後児童クラブの不足と使い勝手の悪さにあります。総合プランでは、現在約90万人の定員数を2019年度末までに30万人程度増やす目標を掲げています。昨年、放課後児童クラブを希望しても利用できなかった児童は全国で6944人いました。まずは待機児童を解消した上で、潜在的な利用ニーズに応えていくため、受け皿の整備を急ぐべきです。
 開設場所について、政府は空き教室の徹底活用を求めています。学校側は「何かあれば責任を問われないか」と不安を感じています。総合プランには「市町村の教育委員会などが責任を持って管理運営に当たる」と明記されています。各学校に周知して設置を進めてなくてはなりません。指導員を確保するための待遇改善や研修制度の拡充も必要です。
 使い勝手をよくするには、利用時間の延長が欠かせません。18時までに終了してしまう放課後児童クラブは約4割に上っています。これでは、保護者は働き方や職場までの距離を制限されてしまいます。夏休みなどの長期休暇期間を含め、柔軟に対応すべきです。
 放課後の過ごし方は子どもの成長に大きな影響をもたらします。「質」の充実も忘れてはなりません。
 総合プランでは、学習支援や果物狩りなどの体験、絵画教室といった、さまざまな活動を行う文科省の事業との一体化を推進し、19年度末までに1万カ所以上での実施をめざします。地域の大学生や高齢者、子育て・教育支援に関わるNPO、スポーツ・文化芸術団体などの協力を得て、多彩なプログラムを展開して行く計画です。
 政府は「女性の活躍」をさらに後押しするため、共働き家庭などの小学生(主に1〜3年生)を放課後に預かる「放課後児童クラブ」(学童保育)の定員数を、2015年度から5年間で約30万人拡充します。安倍晋三首相は7月22日、6月に取りまとめる新たな成長戦略に盛り込む考えを示しています。文部科学省と厚生労働省が別々に実施している事業を一体的に行い、児童クラブが利用できない「待機児童」の解消をめざすべきです。