筑波技術大学視察 1月29日、井手よしひろ県議や公明党茨城県議団は、つくば市の国立大学法人「筑波技術大学」を視察。村上芳則学長より大学の説明を受けるとともに、高大連携のあり方などについて意見交換しました。さらに、主に聴覚障がい者が学ぶ産業技術学部がある天久保キャンパスと視覚障がい者が学ぶ保健科学部がある春日キャンパス、同図書館、付属診療所などを現地調査しました。
 筑波技術大学は、眼や耳に障がいがある(視覚障がい、聴覚障がい)学生が、バリアフリーの教育環境で思う存分勉強し、持っている能力を高め、より良い社会人として自立することを目指し、障がい者のリーダーとして社会に参画・貢献してほしいとの願いを実現するために設立されました。我が国で唯一の聴覚障がい者と視覚障がい者のための高等教育機関として、1987年に3年生の短期大学として設立された国立の大学です。(茨城県内では、茨城大学、筑波大学、筑波技術大学と3つの国立大学があります)
 「幅広い教養と専門的な技術とを有する専門職業人を育成し、両障害者のより良い社会自立を促進すること」、「最新の科学技術を応用して、障害の特性に即した教育方法を開発し、障害者教育全般の向上に貢献すること」を目的としています。
 開学以来、障がい補償システム(聴覚障がいや視覚障がい上がってもパソコンや専門の機器、杖やメガネなど障がいを補って生活・行動できるシステム)や教育方法の開発・研究、そして教職員の資質の向上などにより、両障がい者が大学教育の内容を確実に履修できる環境、豊かな学生生活を送ることができる環境の整備に努め、これまでに、社会参画・貢献できる人材育成や障害者教育の向上に多くの成果を上げています。

筑波技術大学視察天川キャンパスでの外部講師による講座
 天久保キャンパスでの聴覚障がい者のクラスの授業風景は、健常者のそれとは明らかに違う緊張感のある静寂の中で行われていました。授業は基本的に手話で進められていきますが、大学の専門的な講義内容は手話で理解できるレベルを超えてしまいます。したがって、パソコンやプロジェクター、音声をそのままテキスト化する取り組みなどで、文字をいかに学生に伝えるかに様々な工夫が繰り返されています。
筑波技術大学視察:春日キャンパスでの骨伝導装置を使った講座
 一方、春日キャンパスでは視覚障がいの方の授業風景を視察。その方の状況に応じて、骨伝導のイアホンやパソコンディスプレー、デジタル拡大機などで、講義を受ける姿は真剣そのものです。
 視覚障がいの補償システムについて紹介する研究室では、SPコードの説明を受けました。SPコードとは「音声コード」とも呼ばれ、二次元バーコードの一種です。公明党の推進で、障害者自立支援法の円滑な運用をめざす特別対策(2006年度補正予算)に、音声コードを普及するための事業が盛り込まれたのが、きっかけで全国で普及しました。ほとんどの視覚障がい者は、各種の契約書や申請書、請求書、税金や年金、公共料金の通知、防災・防犯情報、行政サービス情報、医療情報など日常生活全般にわたって、その内容が分からず、著しい情報格差にさらされています。そうした格差を埋める技術として日本で開発されたのが、SPコードです。四角いSPコードを専用の読み取り機にかざすと、音声でその内容を読み取ってくれます。
筑波技術大学視察:春日キャンパスの図書館
 視力が弱い人はメガネやコンタクトレンズをつければその弱点を克服できます。視覚、聴覚にハンディキャップがあっても、健常な人と差別のない生活を送れる社会を作らなくてはなりません。その意味で、筑波技術大学の存在意義は非常に大きいと実感した視察になりました。