予算特別委員会で質問する井手よしひろ県議 来月11日で、東日本大震災から丸4年が経過しようとしています。
 茨城県は、震災の教訓を後世に伝え、防災に役立てようと、震災の写真や当時の対応まとめた自治体の記録などの資料を保存する事業を来年度から始める方針を固めました。
 震災の資料を巡っては、宮城県や青森県などが資料の収集を進めるなど、後世に伝え、今後の防災に役立てようという動きが各地で始まっています。
 茨城県が来年度から始める事業では、▼行政機関や一般の人が撮影した震災発生直後の写真や動画のほか、▼避難者への対応記録など自治体や病院に保管されている資料を収集することにしています。
 そのうえで、写真や資料を時期や内容ごとに分類し、▼今後の災害への対策や防災教育にどう活用するかや、▼一般公開するかどうかについて課題も含めて検討することにしています。
 津波の被害があった県内の沿岸の多くの自治体でも、震災の資料を保管はしているものの、整理が進んでいないのが実情で、紛失や散逸が懸念されています。
 県担当者は、「さまざまな機関にある資料が散逸してしまう前にまずはしっかりと保存し、活用方法を検討したい」と話しています。
 井手よしひろ県議は、東日本大震災の記録の集約とその伝承について、その必要性を強く議会で訴えてきました。昨年9月19日の予算特別委員会では、改めて震災の記録のアーカイブ創設を知事に提案しました。
井手よしひろ県議の予算特別委員会での質問
2014/9/19
 震災から3年半が過ぎ、震災対応の公文書もその保存期限を迎えようとしています。あの3・11に何が起き、市町村、さらには、県がどのような対応をしたのか、その記録が失われる懸念があります。また、震災の当時の写真や動画なども市町村では散逸してしまうことも考えられます。
 私は、2012年3月議会の代表質問で、東日本大震災のアーカイブの創設を訴えました。この質問を受けて、震災記録の冊子は実現をいたしましたが、アーカイブ創設などの動きはいまだ明確になっておりません。繰り返しになりますが、震災から3年半が経過した今こそ、大震災の貴重な記録を将来に伝えるための最後のチャンスであると考えますが、震災記録の集約と伝承について、知事のお考えをお伺いをいたします。
橋本昌知事の答弁質問
 東日本大震災の記録を後世に伝え、今後の防災対策や防災教育に役立てていくことは大変重要であると認識しておるところでございまして、それは先般の井手委員の代表質問に対してもお答えをさせていただいたところであります。
 これまで、県では、東日本大震災による本県の被害状況や、県、市町村防災関係機関の応急復旧対策などを取りまとめた「東日本大震災の記録史」を作成しますとともに、震災時における県災害対策本部の議事録や、県内各地における被害状況の写真などもあわせて県ホームページに掲載し、広く公開をしてきたところであります。
 また、本年3月に改定した県地域防災計画では、防災教育訓練の項目に災害教訓の伝承を追加し、県や市町村が大規模災害の各種資料の収集、保存、公開に努めることを新たに明記したところであり、現在、市町村や防災関係機関などから、東日本大震災に関する映像や記録集などの関係資料を収集し、整理を進めているところであります。
 さらに、今後は、個人や企業などが保有している動画などの資料まで、幅広く、また、津波被害や液状化の状況、避難所の設置状況などテーマ別に収集することなどについても検討してまいりたいと考えております。
 それらの資料については、展示方法なども検討を行い、県民の方にわかりやすく体系的に公表しますとともに、震災を語り継ぐためのシンポジウムや学校の防災教育、あるいは、県政出前講座などにおいて活用し、東日本大震災の貴重な教訓を将来に伝えていくなど、今後の防災対策に生かしてまいりたいと考えております。
 なお、アーカイブにつきましては、今後、この資料の集まりぐあいなどを見ながら検討していかなければいけないと考えております。