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 日立市は様々な課題を抱え呻吟しています。地方創生元年と言われる今年4月には、統一地方選が行われ、日立市でも市長選と市議選が行われます。井手よしひろ県議は、日立の課題や可能性について、公明党の現職市議、党日立支部の役員と語り合いました。
 このブログでは、5回に分けてその内容をご紹介します。第5回目は、4期目に挑戦するうすい五月さんです。

薄井五月市議井手よしひろ県議会議員 うすいさんよろしくお願いいたします。4年前の3月11日、私たちは未曾有の東日本大震災という災害を経験しました。私は当日、県議会の委員会のため水戸で震災に遭いました。丸一昼夜、知事と共に県の災害対策本部で、茨城県内の震災対策の一端を担いました。
 この東日本大震災を通して、うすいさんはどのような事を考え、行動されましたか?

うすい五月市議会議員 日立市は最大震度6強という大きな揺れに見舞われ、海岸部は5メートルを超える津波に襲われました。
 その中で、直接の犠牲者が一人も出なかったことは不幸中の幸いでした。JCOの事故を受けて公明党が国を動かし、日立市が配備していた「防災無線の戸別受信機」が、津波の危険を知らせてくれた。との、お話をお聞きしたときは、地域の安全を守るための政治の重要性を改めて実感しました。
 震災直後、私は徒歩や自転車で地域の避難所をくまなく回り、被災した方々から直接様々なご意見やご要望をお伺いしました。河原子海岸を襲った津波また、津波の被害でめちゃくちゃになったお宅を訪ね、ボランティアの皆様と一緒になって、家財を片付けたり、泥で一杯になった部屋の中を掃除したり、被害の一刻も早い回復に汗を流しました。現場の経験の中で、妊婦さんやお年寄りという弱い立場の方を、行政が充分には支援することが出来なかったことを大いに反省しています。ある避難所となった体育館で、乳飲み子を抱えたお母さんと病気がちなおばあさんが寒さに震えている状況に接しました。私は、自宅から二台のストーブを持ち出して、避難所の担当者にどうかこのストーブを使って欲しいとお願いしました。体育館には暖房も不足していましたし、冷たい床の上に毛布1枚で過ごすのは、大変厳しい状況でした。授乳をするプライベートなスペースを確保することも困難でした。
東日本大震災の避難所の模様 こうした実体験を元に、震災後初の6月議会では、早速一般質問を行いました。その中で、非常用飲料水ポリ袋の配布、民間の井戸や湧水の活用など具体的に提案しました。また、お年寄りや障がい者、妊婦さんなどの要援護者について、「要援護者台帳」の作成や活用などを訴えました。また、いわゆる災害弱者と言われる方々のための「福祉避難所」の設置について要望しました。
 この一般質問がきっかとなり、日立では非常用災害時持ち出し袋の全戸配布や避難所に備蓄倉庫の整備などが実現しました。備蓄倉庫の中には、水や食料品はもとより、寒さをしのぐための床マットやプライバシーを守るための衝立も配備されるようになりました。
 私はこの千年一度と言う大震災の被害を教訓に、防災・減災のまちづくりを全力で推進してきました。
貧困の拡大井手県議 今年になって、『21世紀の資本』を著し、所得格差の拡大に警鐘を鳴らしているパリ経済学校のトマ・ピケティ教授が来日したこともあって、「格差論議」が活発化しています。格差の拡大をめぐっては、アメリカで上位1%の富裕層に、所得の20%が集中していることから、「私たちは99%だ」のスローガンを掲げたウォール街占拠運動が注目を集めました。所得格差は、各国で程度は異なるものの、先進国共通の問題です。昨年来、国際通貨基金(IMF)や経済開発協力機構(OECD)などの国際機関は、「所得格差は大半のOECD諸国で拡大」「所得格差は成長の持続可能性を低下させる」など、格差是正の必要性を主張しています。格差の問題は、一義的には国で議論されるべきですが、生活の現場である市町村でもしっかり対応されなければいけないと思います。
 うすいさんは格差の拡大の問題や、貧困の拡大の問題についても市議会で取り組んできたと伺っています。その内容を教えて下さい。

うすい市議 経済的に困窮している人を支援するための法律が昨年、公明党の推進で相次いで成立し、期待が高まっています。貧困対策を進めるための新たなセーフティーネット(安全網)の構築は“待ったなし”の課題となっていると感じています。親から子への「貧困の連鎖」を防ぐための「子どもの貧困対策推進法」が昨年6月に成立。12月には「生活困窮者自立支援法」も成立しました。
 貧困家庭の子どもは十分な教育を受けられず、大人になっても低所得になる確率が高いといわれています。貧困の連鎖や固定化を防ぐための就学援助など支援の充実が急務です。今後、政府が大綱をつくり、都道府県が大綱を基に対策計画の策定に努めることになっています。市町村レベルでも、具体的な行動を起こすべきです。
 こうした状況の中で、私は子どもの貧困対策や女性の貧困対策に、誰よりも真剣に携わってきました。昨年12月議会では、親の所得が低く子どもたちに十分な教育を与えることができない家庭のために、NPOなどが運営する教育支援(学習支援)の取り組みについて議会で提案をしました。また、一人親家庭などを支援するために、市営アパートの入居基準や、保育所や幼稚園などの費用の軽減などを訴えました。
 私は、子供や女性の貧困対策の一端として、小児マル福制度や子供さんがたくさんいる家庭の支援を充実させるべきだと考えています。例えば、古河市や常陸太田市、鹿嶋市などで行おうとしている18歳までの医療費助成制度(常陸太田市、鹿嶋市は3月議会に予算が上程されます)も、所得の低い層に限定して日立市でも実施すべきだと考えています。同じように鹿嶋市が導入を検討している「子宝手当」は、第3子以降の子供さんに対して、月額2万円を15歳まで支給しようとするものですが、これも所得が低い家庭の子どもの生活・教育支援として非常に有効であり、日立市でも十分に検討に値すると考えています。

井手県議 地域を回っていると、公明党の女性議員は弱い者の味方であり、地域の灯台だとのお褒めの言葉もいただきます。なかなか行政や政治の場に届かない、庶民の小さな声をしっかりと、市や県、国に届ける大きな使命があると実感しています。うすいさんは、弱い立場の人を守るために様々な取組を行ってきたと聞いていますが、具体的に報告していただけますか?

うすい市議 私は、多くのお年寄りからの相談を受ける機会があります。住民相談の総数はこの12年間で2500件余りに達しました。
NPO法人市民後見人の会ひたち その中でも、特に気になったのが、判断能力が弱ったお年寄りの財産管理の問題でした。こうした問題に対応するために生まれた制度が「成年後見制度」です。しかし、成年後見の利用実績は非常に低調に推移してきました。その理由は、成年後見制度の認知度の低さ、家庭裁判所に申し立てるという敷居の高さ、手続きの煩雑さや費用の問題、後見人の成り手不足などが上げられます。成年後見制度を普及・定着させていくことは、高齢者を狙う悪質商法の抑止や、高齢化の進展とともに増大する認知症高齢者にとっても必要不可欠なことです。
 そこで、私は日立市での成年後見制度の普及と具体的なサービスを提供するためのNPO法人「市民後見人の会ひたち」の設立に参画しました。今後は、地域包括ケアシステム構築の動きにも呼応して、弱い立場のお年寄りをしっかりと守っていけるよう、市民後見人の活動を充実させていきたいと思います。
 また、昨年6月議会では、「ひとり暮らし・高齢者世帯への支援」について訴えました。日立市の高齢化率は、27%を超え、その中でもひとり暮らしの方は3000人近くいらっしゃいます。厚生労働省の調べで、買い物に困っているという世帯は50%となっています。買い物、ゴミ捨て、電球交換、家の片づけや模様替えなど、若者世代であれば何でもないことが、お年寄り家庭にとっては大きな問題となっています。一部のコミュニティやボランティ団体がすでに、こうした生活支援のサービスを始めています。しかし、残念ながら日立市においては、具体的な検討は今だ行われていません。

 この4月から介護保険の枠組みは大きく変わります。今回の見直しの中では、要支援者など軽度の訪問介護やデイサービスなどを介護保険から切り離して、市町村の事業に変更しました。これからは市区町村が中心となって、それぞれの地域の実情に応じて、NPOなど住民等が中心となった多様なサービスを展開できるようになりました。こうした市町村が行う「地域支援事業」では、必要なお年寄りには今までどおり専門的なサービスも受けられますし、ボランティアなど多様な担い手による、地域サロン、外出支援、買い物、調理などの家事支援など多様なサービスを提供することが可能となります。既存の介護事業者では提供できなかった、きめ細かなサービスを受けられることになります。市町村ごとの知恵と工夫が、地域の介護サービスを充実させるために、非常に重要になります。
 私は、山側の団地や買い物をするお店が遠い地域の方から、「スーパーなどが近くになく買い物が大変」とのご相談を受けました。この相談を受け、私は買い物支援を真剣に考えるべきだと市に提言。「移動スーパー」試行事業がスタートしました。現在、2つの業者が、日立市との連携により「移動スーパー」を運行し、市内40カ所で買い物支援を実施しています。「今までは、遠くまで歩き、重い荷物を持たなければならない買い物に、とても苦労していたので助かります」と言う声をいただいています。品数は充分とはいかない面もあるようですが、注文を受けて次に届けるなど様々な工夫をして、「移動スーパー」の充実を図っていきたいと思います。今後、ますます高齢化が進む中で、「移動スーパー」は、地域住民の交流の場ともなっていいくものと期待しています。

井手県議 国では人口減少社会、少子高齢化社会への対応として、歩いて行ける距離の中に公共施設や医療・介護の施設、買い物ができる場所などがあり、地域でのコミニュケーションがしっかりと確保された小さなまちづくり“スモールタウン”構想を標榜しています。日立市にはJRの駅が5つあります。山側には大規模な住宅団地が立地するなど、こうしたを“スモールタウン”を構築するには、絶好の環境があると私は考えています。半面、山側の団地には公共交通機関の確保や買い物をする場所の確保などの課題もあり、地域ごとの住みよいまちづくりの戦略が必要であると考えます。
 こうした点を踏まえて、うすいさんは市内のそれぞれの地域が賑やかになり、住民の皆様が便利に楽しく住めるような地域をつくるためには、どのような施策が必要だと考えますか?

うすい市議 私は地域の活性化の視点として、特に山側団地をにぎやかにするためには、5つの視点があると考えています。
 その1つは、先ほども「移動スーパー」事業で報告したように、買い物の場の確保です。視点の2つ目は、住民票や印鑑証明などの受け取り、銀行や郵便局のような金融サービスの拠点が、地域の中心になくてはいけないということです。そして3つ目は、地域のコミニュケーションを確保できる“つどいの場”が必要だと思っています。こうした機能を集約した「公共コンビニ」を実現したいと思っています。団地の中でも、生鮮食料品も含めて買い物ができるお店があり、そこでは預貯金をおろしたり年金を受け取ったりできる、住民票や印鑑証明の手続きもできる、お店の一角には自由にお茶やコーヒーを飲んで会話を楽しめるスペースがある、そんな地域の拠点づくりを提案したと思います。こうした「公共コンビニ」の整備には、民間の力を存分に活かさなくてはいけません。建物や設備などは、やはり行政が用意しなくてはいけないと思いますが、実際の店舗運営やサービスの提供は民間の事業者にお願いをして、継続性、発展性のある経営につなげていきたいと思います。
 視点の4つ目は、各地域を結ぶ公共交通網の整備です。今、日立市では「ひたちBRT」の工事が進んでいます。平成30年には道の駅・日立おさかなセンターとJR常陸多賀駅がバス専用路線BRTで結ばれることになります。山側の団地からは、このBRTのバス停をアクセスポイントとして、どこでも乗り降り自由のコミュニティーバスを運行させます。これによって地域の“足”を確保したいと思います。
 5番目は、すこし見方が変わりますが、空き家や空き地の対策です。地域を回ってみると、誰も住んでいない空き家がとても目立ちます。美観を損ねているだけではなく、火災や防犯上も大きな問題です。国は、空き家対策などのために固定資産税の仕組みなども、大きく変えることを検討しています。日立市にあっても、条例などで痛みの酷い空き家の撤去などを、所有者に促すことができる「空き家条例」などを真剣に検討すべきだと提案してまいります。


井手県議 うすいさんは、日立市議会の長い歴史に中で、女性で初めて常任委員会の委員長(平成23年5月総務産業委員長に就任)として活躍されたと聞いています。女性のきめ細やかな目線と、市議12年の経験を活かして、日立の新しい歴史を開くようなダイナミックな活動に期待します。今後ともよろしくお願いをいたします。

うすい五月のプロフィール
  • 昭和26年5月8日 山形県東根市に生まれる
  • 昭和39年3月 日立市立助川小学校卒
  • 昭和42年3月 日立市立大久保中学校卒
  • 昭和46年3月 県立日立第二高等学校卒
  • 平成15年4月 日立市議会議員初当選(現在3期目)
  • 日立市金沢町3丁目在住
  • 公明党日立支部副支部長
  • 公明党茨城県本部女性局次長