新たな介護サービスの提供

市町村は、地域に応じたよりきめ細かいサービスの展開を
 4月1日から介護保険制度の一部が変更されます。その中でも、2015年4月〜2018年3月にかけて順次行われていくことになるのが、全国一律のサービス内容である訪問・通所介護を、新しい市町村の「地域支援事業」に移行させます。これまでは要支援1〜2の人への訪問・通所介護は全国統一のルールのもとに実施されていましたが、今後は市町村事業へと移行されることになり、それに伴ってそれらのサービスの内容や利用料についても各自治体によって定められることになります。また、介護保険事業者だけでなくボランティアやNPOに委託することも可能になります。
 今回の改革によって市区町村は、地域の実情に合わせた事業が展開できるとともに、利用者にとっては個々のニーズに合わせたサービスの選択肢が増えると期待されています。
 一部には、サービスの低下につながりかねないと懸念する声もありますが、移行後も財源は介護保険制度の枠内で確保される上、現在の制度では対象にならないきめ細かいサービスも可能になります。また、市区町村の定める基準を満たしたNPOやボランティアしか事業を行えないので、サービス水準は十分に確保されます。その上で、市区町村は担い手のレベルアップに向け、研修などの実施に努めなくてはなりません。
 既に、住民が介護の分野で活躍している地域もあります。秋田県鹿角市では、高齢者が集えるサロンを市内6カ所に設置。運営はボランティアや自治会が担い、軽度の介護を要する人も利用できるので好評を博しています。鹿角市は新制度移行後も介護サービスの一つとして継続する方針です。こうした取り組みは、大いに参考になります。
 新制度への移行は、経過措置として2018年4月までかけて行われます。しかし、市区町村によっては、人材が確保できないため円滑に移行できなかったり、住民への周知が徹底されていないケースも少なくありません。
 政府は、地域間でサービスに大きな開きが出ないよう十分に配慮していく必要があります。新制度の早急な移行・運用に向けた相談体制の充実や必要な情報提供など、市区町村への支援体制に万全を期してもらいたいと思います。