かねてから障害者年金の認定について、「栃木県で認められるような人が、茨城では認められない」との話しを耳にしました。
 1月14日、厚生労働省は障害者年金の認定の状況について調査した結果を公表しました。これによって、認定医の数や支給率など、地域によって大きく差が生じていることが明らかになりました。
 栃木県は不支給率が3.9%と日本一低かったのに比べ、茨城県は23.2%と全国でも2番目の高さでした。都道府県別に比較した場合、最大で6.26倍の差がありました。
 障害年金は、病気やけがなどにより障害をもった人が、最低限の生活を送れるようサポートするための国の年金制度です。公的年金の加入制度に応じて障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金があり、障害の程度や保険料納付期間などの要件を満たせば受給できます。現在、約200万人が受け取っています。
 日本年金機構が公開したデータによると、全国の障害基礎年金の不支給率は、平成22年度から24年度の全国平均が12.57%。大分24.4%、茨城23.2%。佐賀22.9%。兵庫22.4%、山口21.2%と高い県があるのに対して、栃木3.9%、新潟5.3%、宮城5.7%、長野5.8%、徳島6.3%と低い県もあります。
障害年金の認定に関する都道府県格差
 障害年金は身体、精神、知的障害の区分でそれぞれ細かく認定基準が定められています。支給対象かどうかの判断は、日本年金機構の都道府県事務センターで行われる審査によって決定されます。不支給となった理由としては「障害が認定基準に達していない」と認定医が判断を下したことによるものです。審査基準自体が曖昧で、結果として地域差に繋がっているという問題が指摘されています。
 また、現場からは、認定医が不足しているという声も聞かれています。膨大な数の申請を一人で処理するケースもあり、申請1件につき、数十秒で判定を下さなければ処理が追いつかないという地域もあります。
 さらに、全国の認定医会議も、近年は行われておらず、情報交換の場がないのが現状です。厚生労働省は、近く識者や専門家による会議を開き、障害年金の支給基準や制度について見直していく方針です。不公平の是正へ向けて、今年の夏をめどに話し合いを進めていくとなっています。

「初診日」証明に大きな官民格差
 また、障害年金の支給条件に官民に格差があり、「公務員優遇」が半世紀にわたって続いていたことも明らかになっています。
 自営業者らの国民年金と会社員向けの厚生年金では、障害のもとになった傷病で初めて医療機関にかかった「初診日」がいつかを、受給者が証明できなければ不支給となってしまいます。しかし、共済年金に加入する国家公務員と一部の地方公務員は、本人の申告だけで支給が認められていました。
 こうした不公平な官民格差は関係省令の違いが原因で、半世紀以上続いてきたとみられています。民間も公務員と同じ取り扱いであれば、より多くの人が障害年金を受け取れていた可能性があるのです。
 居住地域や加入制度によって障害年金を受け取ったり、受け取れなかったりするのは、法の下の平等に反します。国は早急に格差解消を図るべきです。