涸沼
 ラムサール条約の登録候補地となっていた涸沼(ひぬま)が、正式に5月28日(条約事務局が置かれているスイス時間、日本時間では5月29日)付けで正式登録されました。6月にウルグアイで開かれる締約国会議で、登録証が交付されます。
 5月28日、井手よしひろ県議と高崎進県議は、茨城町役場を訪れ、涸沼のラムサール条約登録について、茨城県と茨城町の担当者からヒアリングを行いました。また、井手県議はその後、涸沼を周遊し現況を確認しました。
 涸沼は茨城県の県都・水戸市に隣接し、鉾田市、茨城町、大洗町の3市町にまたがる淡水と海水が混じった汽水湖。面積は935ヘクタール。環境省は環境を保全するため、2014年11月から涸沼(涸沼特別保護地区)と周辺の涸沼鳥獣保護区(2072ヘクタール)を、県指定から国指定の鳥獣保護区に切り替えていますた。
 涸沼には国際的に絶滅の恐れがあるオオセッカやオジロワシ、オオワシなどが見られ、さらにスズガモなど水鳥の重要な中継、越冬の場となっています。特に、スズガモは東アジア地域個体群の個体数1%を超える5000千羽程度が毎年渡来するなど、登録の国際基準の9つのうち3つを満たしています。
150529ide 魚類では、天然のウナギ(ニホンウナギ)やヤマトシジミが有名です。涸沼は、海に通じているために、潮の干満の影響をうける汽水湖です。ヤマトシジミは、水深1mより浅い底に生息しています。ヤマトシジミ漁が出来るのは240名の地元漁師だけ。漁師の人数を制限することで資源保護に努めています。また1日に漁獲出来る量は1人100kgまでに決められています。シジミ捕りには、長い柄の先につけた金属製の網(ジョレン)が使われます。このジョレンの網目は、他のしじみ産地では10mmが一般的ですが、涸沼では12mmと定められています。これが、他産地に比べて粒が大きい理由です。また、天然のウナギが食べられる場所として、隠れた名所となっています。わざわざ遠方から車やバイクで駆け付ける方もあります。涸沼自然公園にほど近い、その名もズバリ“うなぎや”さんが有名です。
 昆虫類では、ヒヌマイトトンボが生息しています。ヒヌマイトトンボは、県環境アドバイザーを務める廣瀬誠さんらが1971年に発見。日本最後の新種のトンボと言われています。茨城町の天然記念物に指定されており、国の絶滅危惧種毅体爐忙慊蠅気譴討い泙后 

ラムサール条約登録と今後の活動
 1971年にイランのラムサールで開催された「湿地及び水鳥の保全のための国際会議」において「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」が採択されました。この条約は水辺環境(湿地や動植物)の保全を目的としており、開催地にちなみ、「ラムサール条約」と呼ばれています。
 ラムサール条約に登録されるためには、次の3つの条件を満たしている必要があります。
1.国際的に重要な湿地であること(国際基準に該当)
2.国の法律により将来にわたって自然環境の保全が図られること
3.地元の自治体等が登録に賛成していること
 国際基準は9つありますが、涸沼は基準2(国際的に絶滅のおそれのある種又は消失の危機に瀕している生物群集を支える上で重要な湿地)と、基準4(生活環の重要な段階を支える上で重要な湿地)、基準6(水鳥の種又は亜種の個体数の1%以上を定期的に支える湿地)の3つの基準に合致しています。
 ラムサール条約制定の目的は、湿地の「保全・再生」と「ワイズユース(賢明な利用)」、そしてこれらを支え、促進する「交流・学習」の3つです。
 第1項目の保全・再生とは、水鳥の生息地としてだけでなく、私たちの生活環境を支える貴重な生態系として、幅広く湿地の保全・再生を図るということです。
 第2にラムサール条約では、産業や地域の人々の生活とバランスのとれた保全を進めるために、湿地の「賢明な利用(wiseuseワイズユース)」を提唱しています。賢明な利用とは、湿地の生態系を維持しつつ、そこから得られる恵みを持続的に活用していくことです。観光振興や漁業などを一方的に制約するものではありません。
 第3に、ラムサール条約では、湿地の保全や賢明な利用のために、人々の交流や情報の交換、教育、参加などを進めることを決議しています。
 今後、このラムサール条約の目的を達成するために、茨城県と茨城町などの3市町は努力をスタートさせることになります。


涸沼は、海水と淡水が混じり合う全国的にも希少な汽水湖です。茨城県のほぼ中央部に位置し、茨城町、鉾田市、大洗町にまたがっています。その流域は多くの動植物が生息する貴重な生態系となっており、その恵みは地元の水産業を盛んにしています。【撮影日 2015.5.11】