6月17日、選挙権年齢を現行の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法は参院本会議で、全会一致で可決され、成立しました。選挙権年齢の引き下げは70年ぶりです。近く公布され、来年夏の参院選から「18歳選挙権」が適用される見通しとなりました。

公職選挙法改正で何が変わるか?
18、19歳の240万人が投票と選挙運動できるように

世界の選挙権年齢 18歳選挙権の実現で新たに有権者となる18、19歳の未成年者は約240万人です。衆院選と参院選のほか、地方自治体の首長や議会の選挙などで投票ができるようになります。日本で選挙権年齢が変更されるのは、1945年に「25歳以上の男子」から現在の「20歳以上の男女」となって以来、70年ぶりです。
 長らく日本で20歳以上とされてきた選挙権年齢ですが、世界的には18歳以上が潮流となっています。国会図書館が昨年2月、198カ国・地域を対象に行った調査によると、18歳選挙権を導入する国は8割以上を占めています。経済協力開発機構(OECD)に加盟する34カ国のうち、18歳選挙権を導入していないのは日本と韓国だけです。
 今回の改正案が成立すれば、18、19歳による選挙運動も可能となります。このため法案の付則には、買収など重大な選挙犯罪に関わった場合は、少年法の特例措置として成人と同様に処罰されると明記。18、19歳と20歳以上の間で不均衡が生じないようになりました。
 ただし、それぞれの法律に適した成人年齢があるとの考えから、民法と少年法の成人年齢は20歳以上のまま変えていません。今後に向けて改正案の付則には「民法、少年法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」と規定しました。
導入までの課題は?
政治への関心高める主権者教育を中立性保ち実施

 選挙権年齢が18歳以上になったからといって、若者の政治への関心が高まるとは限りませんし、かえって無責任な投票をするとの懸念もあります。若者が政治に関心を持ち、国や地域の問題を主体的に考え、行動するようになる「主権者教育」が求められています。
 諸外国に目を移すと、英国では、中等学校段階(11〜16歳)での独立した教科として、政治教育を行う「シチズンシップ」を必修化しています。スウェーデンは民主主義の価値を子どもに伝える学習に努め、学校に政党関係者を招いて討論会を開催。米国では、時事問題に関する教育が重視され、実際の選挙に合わせた模擬投票が行われています。
 こうした例を踏まえて日本も、学校現場でいかに政治的中立性を保ちながら主権者教育を行っていくかを模索しています。手始めに今年9月には、文部科学省が選挙の意義や制度の解説、模擬投票の実践例などを載せた政治教育の副教材を全高校生に配布する予定です。
 また、高校内で生徒が選挙運動をすることについても議論が行われています。先月28日の国会審議では、法案提出者の一人である北側一雄氏(公明党副代表)が「選挙運動、政治活動は基本的に自由という原則に立ち返った上で、各学校で自主規制を作ってもらうのがいいと思う」との考えを示しました。

公明党の取り組みは?
45年前から推進。法の不備で投票できないケース解消

 公明党は、18歳選挙権について45年以上前から国会質問で取り上げ、一貫して実現に取り組んでいます。若者の声を法案に反映させるため、NPO法人が主催する10代の若者と国会議員による対話集会などにも積極的に参加。大学生、高校生らと活発に意見を交わしてきました。
 18歳選挙権について検討する与野党の会議では、「選挙権があるのに選挙人名簿に登録されていないため投票ができない」人が出てきてしまう法の不備を是正するよう提案しました。これは、現行法であれば20歳になって選挙権を得た直後に引っ越した人が、新住所地に転入してから3カ月未満で国政選挙を迎えた場合などに起こる問題です。
 協議の結果、転居前の市町村で、選挙権年齢に達する前も含めて3カ月以上住んでいれば、その転居前の市町村で投票ができるようにする公職選挙法改正案を自民、公明、次世代の与野党3党で今国会に提出しました(18歳選挙権を実現する公選法改正案とは別の法案として審議)。成立すれば、18歳選挙権の実現と同時に適用されます。
 また、選挙権年齢が18歳以上へと引き下がるのに、民法や少年法の成人年齢は20歳のままでいいのかを話し合うプロジェクトチームを党内に発足させ、議論を重ねています。選挙に出馬できる被選挙権年齢の引き下げも議題にしています。

18歳選挙権実現を若者の声反映する一歩に
 18歳選挙権が実現する一番の意義は、学校内で政治の話題が語られるようになることです。しっかりとした主権者教育を行い、子育て支援から安全保障の問題まで幅広くクラスメートと議論できる場にすることが重要です。
 主権者教育によって若者の政治参画が進めば、未来を見据えた政策を作っていく社会になる一助となります。結果的には、若者の投票率向上にもつながるはずです。
 ただし、一定のルール付けは必要になるでしょう。政治と政党は切っても切れない関係にあります。政党の政治活動がどこまで学校内で許されるのか、選挙運動の自由を守るという大原則の下、関係者の具体的な検討が望まれます。
 その点では、18歳の学校現場では、選挙権を持つものと持たないものが混在することを十分に認識しなくてはいけません。同じ高校3年生でも、選挙権を持った高校生はインターネットなどを使った選挙運動ができますが、もっていない高校生は同じ教室にいても選挙運動をすれば、選挙違反ということになります。こうした複雑な現場の実情も考慮していかねばなりません。
 今後とも、若者のための政策を進めてきた公明党の責任人は重いと自覚しています。