健康診断や診療報酬明細書(レセプト)のデータを活用して、保険加入者の健康増進を図るデータヘルスへの関心が高まっています。
 6月25日、厚生労働省は、主に大企業の社員が加入する健康保険組合によるデータヘルスの先進事例を公表しました。代表的な内容は、高血圧対策として社員食堂で減塩化を進めた事例や、生活習慣病予防のために携帯型端末を用いて栄養・保健指導を行うものなどです。
 データヘルスでは、健診データや医療機関への受診履歴から、生活習慣病の受診を一定期間放置している患者を特定し、保健師による個別指導などを通して重症化を防ぐことができます。また、患者に処方されている治療薬が分かれば、新薬よりも安いジェネリック医薬品(後発医薬品)に置き換え、医療費の節約も可能になるなど利点は多くあいます。
データヘルスの先進事例

 政府は2013年に閣議決定した「日本再興戦略」で、全ての健保組合に今年度からデータヘルス事業に取り組むよう求めています。自営業者らが加入する国民健康保険が、同様の事業を行う場合も後押ししていく方針です。
 この事業は大きな効果が見込まれるだけに、幅広い展開を期待したいと思います。ただ、加入者の個人情報が特定されたり流出しないよう徹底した情報管理を進めなければならなりません。
 医療従事者らがデータヘルス活用を求めている病気の一つが糖尿病です。糖尿病が悪化し、人工透析が必要になると就労や生活に多くの制約が出ます。患者1人当たりの公費支出は年間数百万円に上り、保険財政上も避ける必要があります。
 一方で、糖尿病はデータヘルスを活用すると、重症化の恐れがある人の特定や個別の保健指導が行いやすく、対策が実を結ぶことが珍しくありません。
 例えば、公明市議が精力的に導入を進めてきた広島県呉市では、人工透析を受ける患者が、156人(2010年度)から111人(2013年度)に減りました。市が実施する予防プログラムの効果で、人工透析が必要になるまで症状が悪化する患者は少なくなりました。
 データヘルスの推進は、茨城県内でも最優先の課題として取り組みます。
参考:データヘルスに先進事例(厚生労働省2015/6/25)