抜本改革にはほど遠く、公明党は11ブロック制導入を求める
参議院での採決 7月28日、参議院の選挙区定数を「10増10減」する公職選挙法の修正案が、衆議院で可決され成立しました。
 参議院選挙の選挙区が合区されるのは初めてで、来年夏の参議院選挙から適用されることになります。
 自民党と維新の党など野党4党が提出した公職選挙法の改正案は、隣接する2つの選挙区を1つにする、いわゆる合区を、鳥取県と島根県、徳島県と高知県の2か所で行って、定数を合わせて4削減するほか、新潟、宮城、長野の3つの選挙区の定数を、それぞれ4から2に削減するとしています。
 また、東京、北海道、兵庫、愛知、福岡の5つの選挙区では定数を2ずつ増やし、全体では選挙区の定数を「10増10減」するとしています。1票の格差は、平成22年の国勢調査の結果で計算すれば、最大で2.974倍となります。
  一方、公明党は本会議の採決で「10増10減」案には反対しました。「10増10減」案では、格差是正が不十分だからです。2010年と12年の参院選がそれぞれ最大格差5.00倍、4.77倍で行われ、最高裁から2回連続して「違憲状態」と指弾されています。
 憲法が求める「投票価値の平等」を実現するには、都道府県単位の選挙区制度を見直すなど抜本的な改革が必要だとも指摘されています。このまま来年の参院選を行えば、「違憲・無効」の判決が下されてもおかしくありません。
 公明党は「投票価値の平等」は、1人が2票をもたない状態、つまり格差を「2倍以内」にすることが必要だと主張してきました。「10増10減」の公職選挙法改正は初めて合区の導入に踏み込み、一歩前進といえます。しかし、まだ最大格差は3倍程度もあります。
NHKニュースから そもそも「投票価値の平等」に向け、公明党が最初に提示した案は、全国を11ブロックに分けた大選挙区制です。この11ブロック案で最大格差は1.13倍にまで縮小します。公明党は、現在も、これが最もふさわしい抜本改革案だと考えています。
 しかし、各会派の合意形成が進まず、来年の参院選に間に合うよう制度を改正するには、周知期間を考えると時間的な猶予がなくなってしまいました。参議院議長からは各会派で合意形成へ協議するよう指示もありました。そこで、公明党としては各会派の合意が難しい、11ブロック案を一端棚上げし、次善の策として、合区を認めて格差を「2倍以内」に収める具体案を作成しました。それが、公明党が民主党などと共に提案した「10合区案」です。
 公明党の合区案は「鳥取と島根」「高知と徳島」といった人口の少ない隣接選挙区などを統合し、10合区に再編して選挙区定数を12削減し、兵庫や北海道、東京など6選挙区を各2増するというものでした。平成22年の国勢調査を基にした試算では最大格差が1.953倍になり、今年1月1日時点の人口では1.945倍になり、一票の格差を2倍以内に納めることが出来ます。
 今回の「10増10減」の選挙定数改正は、抜本改革とはほど遠い内容です。今後とも、抜本改革に向けて参議院改革を進めていかねばなりません。いずれにせよ、来年夏に行われる参院選は、18歳選挙権、初の合区と話題の多い重要な国政選挙となります。