山中伸弥教授 7月27日、山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長と有田美智世・さい帯血国際患者支援の会理事長が、山本香苗厚生労働副大臣(公明党)を訪れ、公的さい帯血のバンクに保管されている“さい帯血”の研究利用に向けての環境整備を要望しました。
 席上、山中教授は、良質なiPS細胞を作り出すには赤ちゃんのへその緒にある、さい帯血が有効であることに言及。「さい帯血由来の初のiPS細胞を作製しており、年内にも発表できる予定である」と報告しました。また、公明党の主導で実現した、さい帯血をiPS細胞研究に利用できるようにした「造血幹細胞移植推進法」(2014年1月施行)をあらためて評価しました。
 その上で山中教授は、iPS細胞の研究に、さい帯血を利用するには提供者の同意が必要だが、住所変更などにより提供者の所在が分からず、確認に時間が掛かることなどから検体が思うように得られない状況を説明。さい帯血の利用に関する同意取得手続きの合理化を求めました。また、iPS細胞ストック構想を推進するため、さい帯血バンクにおけるさい帯血のさらなる提供やさい帯血の保有状況に関する情報の開示なども要望しました。
 有田理事長は、さい帯血をiPS細胞に利用することについて「好意的に捉えてもらえる環境整備を進めてほしい」と訴えました。
 これに対して山本副大臣は、iPS細胞の研究を今後も全面的に支援する考えを示し、「各さい帯血バンクにおいて統一的な審査・提供手続きなどの体制を整え、さい帯血の提供が進むように環境を整備したい」と述べました。
公的さい帯血バンク設立に、公明党が奔走
 さい帯血をiPS細胞に利用することができたのは、公明党が有田理事長らと共に、1990年代から設立のために奔走してきた「さい帯血バンク」の存在が大きくあります。また、造血幹細胞移植推進法は、党造血幹細胞移植法整備検討プロジェクトチームがつくった独自案が法律化されたものです。

iPS細胞にはさい帯血が最適
 患者本人からiPS細胞を作れば免疫拒絶はないが高額な費用と時間が必要です。そこで山中教授は、1000人に1人が持つ他人への拒絶が少ない「HLA型ホモ」の細胞からiPS細胞をストックする構想を進めています。“キレイな細胞”とされる、さい帯血はiPS細胞に適している上、さい帯血バンクには「HLSA型ホモ」に関する情報が蓄積されています。100種類の「HL型ホモ」のiPS細胞があれば日本人の約8割に対応した免疫拒絶が少ない細胞を作ることができるといわれています。