群馬県動物愛護センターを視察 8月4日、井手よしひろ県議は7月1日に新たにオープンした“群馬県動物愛護センター”を訪問し、施設内を視察するとともに、群馬県健康福祉部衛生食品課・岸秀樹次長、動物愛護センター・田中義朗所長、渡昭博次長より説明を聴取しました。群馬県議会の福重隆浩議員(公明党)に同行していただきました。
 群馬県愛護センターは、これまで殺処分中心だった県動物管理センター(沼田市)に代わる施設として、犬・猫等の動物の保護や苦情相談に加え、保護期間が過ぎた犬・猫について、感染症の有無や社会適応性のチェックを行い、譲渡可能と判断した場合は、希望する県民に譲渡したり、動物愛護及び動物福祉の啓発事業を中心に業務を行います。また、動物愛護に対する県民の啓発事業の拠点として、様々な活動を行う施設です。
 建築費約1億4000万円をかけて、伊勢崎市などの隣接する玉村町に建設されました。鉄筋コンクリート造、平屋建て。敷地面積7463平方メートル、床面積は380平方メートル。全室冷暖房完備です。群馬県の場合、動物愛護行政は、衛生食品課が所管しており、群馬県食肉衛生検査所内の駐車場を再整備して建設されました。
譲渡犬室 譲渡用の犬猫の保管施設も整備し、大人の犬猫は約2倍の収容能力(犬50頭、猫20匹)を持っています。子犬専用の部屋も新たに造られました。
 動物愛護センターに受け入れられた犬猫は、「収容犬室」に入れられ、きれいに洗浄(シャンプー)してもらいます。負傷している犬猫は、伊勢崎地区の獣医師会の協力を受けて「負傷動物治療室」で治療を受けます。その後、「観察犬室」で1〜2週間、感染症の有無や人間に敵意を持っていないかなど譲渡犬としての適正を観察します。観察期間が終了すると「譲渡犬室」で新たな飼い主を待つことになります。譲渡犬室は15のブースに分けられ、窓側の7つのブースには、テラス風の屋外スペースが付けられています。窓側のブースに収容された犬は、外部から直接見ることができます。
 猫のためには、「猫飼育室」が設けられ、ここにも大きな窓があるために、外部から猫達の様子を観察することができます。
胴縁愛護センターの見取り図 大変コンパクトな設計ですが、使い勝手は良いようです。ただ、譲渡希望者の研修を行う「研修室」や「ボランティアルーム」、子どもたちなどとの譲渡犬、譲渡猫などのふれあいスペースなどがないのは残念です。また、譲渡会などを行うスペースアスファルト舗装の広場であるために、動物のためには暑さ対策などが必要になります。
 群馬県愛護センターでは当面、引き取った犬猫を新しい飼い主に譲渡する会を毎月2回、第1土曜日と第3土曜日に開催し、マッチングする機会を増やす計画です。しかし、愛護センターの職員は総勢11人しかいないため、譲渡予定の犬猫のトリミングや散歩、しつけ、譲渡会での受け付けや飼育方法の説明などをボランティアを募集して補おうと計画しています。現在、募集目標50名に対して36人が名乗りを上げています。
 群馬県は2013年9月に改正動物愛護法が施行されたことを受け、県動物愛護管理推進計画を策定。23年度には飼い主から引き取る数を犬20%減、猫30%減とする目標を掲げています。
 群馬県は、今回新設された玉村町の愛護センターを中心に、3箇所の出張所(渋川、富岡、太田)で、動物愛護関連の行政を行うことになります。また、中核市である前橋市と高崎市は、独自に愛護の拠点施設を持っており、県と連携を取りながら動物愛護を推進しています。殺処分などを行う管理センターは沼田市内にあります。
 群馬県衛生食品課によると、管理センターでの殺処分は、2009年度は犬1937匹、猫2680匹。14年度は犬579匹、猫1201匹と減少傾向にあります。この愛護センターは”殺処分のゼロの拠点”として活躍することになります。

(2015年8月8日更新)
 当日、動物愛護センターの運営コスト(ランニングコスト)について質問いたしました。8月7日、ご回答をいただきました。
 平成27年度の予算ベースで運営費総額は5750万円。内訳は人件費2170万円(非常勤嘱託職員10人分の人件費)、施設管理運営経費1050万円、飼養動物管理経費747万円、動物愛護啓発経費870万円、その他918万円などとなっています。