駒ヶ根市交流推進室から説明を受ける井手県議 8月5日、井手よしひろ県議は長野県駒ヶ根市を訪れ、駒ヶ根市の移住促進(Iターン促進)について調査しました。市役所で観光振興課交流促進室・山本哲広室長から聴き取りを行うとともに意見交換を行い、実際に千葉から移住して、市内で起業した女性から実際に体験談を伺いました。
 長野県駒ヶ根市は、東に南アルプス、西に中央アルプスの3千メートル級の山々を囲まれています。まちを縦断して流れる天竜川とそこに流れ込むアルプスからの清らかな水の恵み、澄んだ空気、肥沃な大地など、豊かな自然の中に息づくまちが駒ヶ根市です。人口は3万2832人(平成25年)です。
 平成25年4月、駒ヶ根市は「田舎暮らし駒ヶ根推進協議会」を発足させました。この協議会は、移住による定住促進を進めるために、市役所と商工会議所、民間団体(農協、不動産業者、建設業者、金融業、自動車販売業者)で構成され、官民一体となって活動しています。
駒ヶ根の移住促進イベント 平成24年度から、「認定NPOふるさと回帰支援センター」と業務委託して、東京有楽町に駒ヶ根市を紹介する単独のブースを設置しました。平成26年度には東京都内で5回、名古屋で3回、大阪で1回の移住説明会を開催しています。また、年5回の現地体験プラン(現地見学会)を開催しています。駒ヶ根の冬は雪は少ないものの、寒さは厳しいために、移住希望者には“冬体験”をしてもらいたいと、1月、2月に行うプランは1泊2日の日程となっています。
 こうした取組によって、平成23年以来の移住実績は延べ118名となっています(平成23年9組22名、平成24年11組28名、平成25年11組30名、平成26年17組38名)。
 今後の課題や取り組みについて山本室長は、次のように指摘しました。
  • 都市部(東京、名古屋、大阪)での相談会やイベントは、その後の駒ヶ根への来訪や体験ツワーにつながる機会が多く、非常に重要である。
  • 首都圏では、安曇野や松本に比べて知名度が低く苦戦している。ふるさと回帰支援センター以外の紹介機関との連携も必要である。
  • 若い移住希望者にとって、仕事があるかがないかが移住を決めるお大きなポイントとなる。働く場所を確保するのが最も重要である。
  • 二地域居住を希望する方が名古屋地区には多いが、条件を満たす物件が少ない。
  • 移住希望者は、まず空き家(賃貸物件)を求める傾向が強い。駒ヶ根市では“空き家バンク”制度はまだつくていないために、今後、制度の創設を検討したい。
駒ヶ根市 駒ヶ根市の移住実績は、他の市町村の取組に比べて出色です。しかし、駒ヶ根市の移住促進事業の年間予算は、660万円程度(平成27年度)であり決して潤沢なものではありません。その3分の1は相談員の人件費であり、ふるさと回帰支援センターへのブース使用料や相談会の募集広告費などが主な出費となっています。都内のブースなどで配布している資料「信州駒ヶ根で暮らす」は交流促進室の手作り、不動産物件を掲載した「信州駒ヶ根物情報」は不動産業者からの1コマ600円の広告費で賄うなど、その推進体制はかなり質素です。
 また、移住者の対する補助金や助成金などの公的な支援はほとんどありません。(他の市町村では、移住した人への家賃の補助や新築の場合の一時金、公的住宅の貸与などを行っている事例が多くあります)
 このような中で、多くの移住者が駒ヶ根市に移り住んでいる理由は、2つあるようです。その第1は、駒ヶ根市の素晴らしい魅力を持っているということです。千葉県から移住して、マクロビオティックの考え方を取り入れたカフェをオープンさせたSさんは、「駒ヶ根は北アルプスと南アルプスが最高の姿で見られる場所です。健康を第一に考えた調理に欠かせないアルプスの清流に恵まれています。この素晴らしい環境は、他の場所では得られません」と語ってくれました。
 そして、その第2点目は、その魅力を市の担当者職員や市内の事業者、駒ヶ根市の市民のみさんが、移住希望者に、明確に熱心に発信しているということです。Sさんは「駒ヶ根市の担当者は、土曜、日曜でも市内の物件調査に付き合ってくれました。お店を立ち上げる時、国の補助金を申請するために、素人には難しい書類作りを夜遅くまで手伝ってくれました。こういう人達がいる“この街は終の棲家の相応しい”と確信しました」と話しています。
 より多くの移住者を迎えるためには、他の市町村を圧倒する政策や移住者をサポートするシステムが必要です。その上に、迎える側の熱い思いが不可欠であることを実感した視察となりました。
参考:駒ヶ根市の移住支援のHP「信州駒ヶ根で暮らす」