9月県議会の代表質問の準備のため、井手よしひろ県議は、神奈川県の横浜市と平塚市の動物愛護の拠点施設を現地調査しました。
 神奈川県は、動物愛護の行政を政令市である横浜市、川崎市、中核市である横須賀市と神奈川県が分担して推進しています。(政令市である相模原市と保健所を持つ藤沢市は、動物愛護に関する業務を神奈川県に委託しています)

明るく広々とした動物愛護の拠点・横浜市動物愛護センター
横浜動物愛護センター まず、横浜市動物愛護センターに向かいました。横浜市のセンターは、小高い山の上に建てられ、敷地面積約1万平方メートル、延べ床面積約2800平方メートルと、とてもゆったりとしたつくりになっています。最大で、犬70頭、猫120頭を収容できる設備があります。現在は、犬の譲渡室は半分程度しか使われていませんでした。このほか、大ホール(定員300人)や滑りにくい床材を使った飼育体験実習室、グルーミング室、芝生の広場など、さまざまな目的で訪れた方が利用できるようスペースが備えられています。平成22年に新設されました。
 「人と動物がともに快適に暮らせる環境づくり」を目指し、保護された動物を可能な限り譲渡していくという運営方針は、高く評価できます。
 横浜市のセンターでは、平成25年度の犬の収容数は407頭、うち204頭が返還、101頭が譲渡、殺処分110頭となっています。平成26年度は336頭、176頭が返還、125頭が譲渡、殺処分42頭となっています。
 殺処分ゼロというところまではいっていませんが、27の団体と協力して、積極的に譲渡を進めているとのことでした。返還数や譲渡数が多いことから、飼い主のペットを飼うことへの意識が高いことが想像できます。こうした明るい環境のもと、譲渡会や啓発イベント、ボランティアの会合などが行えることは大変素晴らしいことと実感しました。
参考:横浜市動物愛護センターのHP
犬、猫ともに殺処分ゼロを実現した神奈川県動物保護センター
神奈川県動物保護センター 続いて、神奈川県動物保護センターを視察しました。横浜市の愛護センターから、平塚市内にある保護センターにレンタカーで移動しました。約100分程かかりました。JR平塚駅からは車で約45分程度です。
 この施設は、昭和47年の開設。40年以上が経っています。古い建物を職員の方がメンテナンスを繰り返しながら、工夫して活用しています。当時の施設ですので殺処分が前提の施設です。老朽化が激しく、犬の収容場所はコンクリートのみで、窓もありません。冷房や暖房もありませんので、職員の努力で夏は扇風機、冬はマットや毛布を敷いたり、電気ストーブを置いたりして動物たちの命をつないでいます。
 神奈川県動物保護センターは、県内の横浜、川崎、横須賀を除く地域を所管しています。平成26年度に犬猫とも殺処分ゼロを達成した背景には、ボランティアの協力とセンター職員の並々ならぬ努力がありました。
 このセンターは、通常5日間が収容期間です。しかし、平成23年頃から最低でも1か月は犬猫を保護しています。これによって、ボランティアが譲渡先を見つけやすくなりました。
 21年10月からは、炭酸ガスによる殺処分を取りやめました。動物愛護団体からの申し入れを受け、「出来る事はできるだけ実行しよう」と決断したそうです。
 逆に子猫は、5日間を待たず、その日のうちにボランティアに任せられる制度をつくりました。猫は子猫で収容される場合が多く、ミルクを飲めない子猫は数日のうちに死亡してしまうので、できるだけ早い給餌(ミルク)が必要と判断したためです。
参考:神奈川県動物保護センターのHP

平成31年に全面建て替え、建築費11億円を寄付で賄う
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 施設の老朽化が目立ってきたため、平成31年の完成を目指して、全面的な建て替えが今年6月の県議会で承認されました。現在、基本設計を行う業者の選定が始まっているということでした。
 この新センターの建築に関しては、その費用を全額寄付で集めるという方針が注目を集めています。
 整備にかかる費用は約14億円が想定されています。そのうち建築費は11億円です。設計費や既存の建物を壊す費用、センターの維持運営費は寄附の対象外です。センターの中心的な施設である本館の建設費が寄附対象です。
 神奈川県では、新しいセンターを動物愛護の拠点とし、多くの方々と思いを共有し、力を合わせて作り上げていくことができること、また、これまで神奈川県が進めてきた動物愛護に関する施策を全国に発信し、動物愛護の輪が広がっていくことを期待して、寄附を募ることにしました。
参考:神奈川県動物保護センター建設基金に寄附を検討されている方のためのQ&A